ロブスターの泳ぎ方で開戦? 歴史に残る「くだらない理由で始まった戦争」6選

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 領土や黄金をめぐる争いは歴史の常だが、時には信じられないほど些細な、あるいは滑稽な理由で戦争が勃発することがある。切り落とされた耳、ロブスターの泳ぎ方、あるいは一匹の。今回は、そんな「歴史の珍戦争」を6つ紹介しよう。

1. ジェンキンスの耳の戦争

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ジェンキンスの拿捕を描いた石版画 パブリック・ドメイン, リンク

 1738年、イギリス議会にとんでもないものが持ち込まれた。ロバート・ジェンキンス船長が掲げたのは、自身の切り落とされた「耳」だった。彼は7年前、スペインの沿岸警備隊に密輸の疑いをかけられ、耳を削ぎ落とされたのだと訴えた。

 当時、イギリスとスペインの通商関係は悪化しており、国民は戦争を望んでいた。ジェンキンスの耳は世論を煽る格好の材料となり、1739年に「ジェンキンスの耳の戦争」が勃発。しかし、ジェンキンスの復讐劇は、より大きなオーストリア継承戦争へと飲み込まれていった。

2. ロブスター戦争

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「ロブスターは泳ぐのか、這うのか」

 1961年、ブラジルとフランスはこの生物学的な問いを巡って軍事衝突寸前となった。フランス漁船がブラジル沖でロブスター漁を行ったことに対し、ブラジル側は「ロブスターは海底を這うから大陸棚の一部であり、ブラジルの所有物だ」と主張。対するフランスは「ロブスターは泳ぐから誰のものでもない」と反論した。

 両国は軍艦を派遣し合う事態となったが、最終的にはブラジルが漁業権を拡大する形で決着。ちなみに生物学的には、大人のロブスターは普段海底を這っているため、ブラジルの主張が正しかったと言える。

3. 豚戦争

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 1859年、アメリカとイギリスの領有権争いが続いていたサンフアン島で、一発の銃声が響いた。アメリカ人農夫が、畑を荒らしたイギリス側の豚を射殺してしまったのだ。

 たった一匹の豚を巡る口論は、軍隊の動員へとエスカレート。最終的に島には461人の米兵とイギリスの軍艦が集結したが、両国の司令官が冷静さを取り戻し、全面戦争は回避された。この奇妙な共同占領状態は12年間も続き、唯一の犠牲者は原因となった豚だけだったと言われている。

4. 菓子戦争

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オラース・ヴェルネヴェルサイユ宮殿, パブリック・ドメイン, リンクによる

 1838年、メキシコのフランス人菓子店主が「メキシコ軍将校に店を荒らされた」と自国政府に訴えたことがきっかけで、フランス艦隊がメキシコの港を砲撃した。これが「菓子戦争」だ。

 当時、メキシコ国内のフランス人に対する暴力が多発していた背景もあるが、菓子店の損害賠償請求が戦争の引き金となったのは事実だ。この戦争でメキシコの英雄サンタ・アナ将軍は片足を失い、その足は後に盛大な葬儀で埋葬されたという珍エピソードも残っている。

5. ケトル(やかん)戦争

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 1784年、神聖ローマ帝国とオランダの間でスヘルデ川の通行権を巡る緊張が高まっていた。皇帝ヨーゼフ2世は威圧のために艦隊を派遣したが、対するオランダ船が放った一発の砲弾が、あろうことか皇帝側の旗艦のスープ用「やかん」に命中した。

 驚くべきことに、皇帝艦隊はこの「やかんの破壊」だけで撤退してしまったのだ。死傷者が出ることなく終わったこの戦いは、歴史上最も間の抜けた海戦の一つとして語り継がれている。

6. 架空の戦争(シリー諸島の335年戦争)

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ISS Crew Earth Observations / NASA JSC Image Science & Analysis Laboratory(パブリック・ドメイン)出典Wikimedia

 最後は、世界で最も長く、そして最も平和だった戦争だ。1651年、オランダはイギリス王党派に対して宣戦布告したが、王党派が降伏した後、シリー諸島との平和条約を結ぶのを忘れてしまった。

 その結果、オランダとシリー諸島は法的に「戦争状態」のまま335年間放置されることとなった。1986年になってようやく平和条約が締結され、オランダ大使は「いつでも攻撃できたんだけどね」とジョークを飛ばしてこの長きにわたる「戦争」を終わらせたのである。

 豚一匹やロブスターの生態で国が動くのだから、人類が平和になるにはもう少し進化が必要なのかもしれない。

参考:MENTAL FLOSS、ほか

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