FBIが「何もなかった」と宣言した5億ドルの財宝。科学的証拠が示した“9トンの金塊”はどこへ消えたのか ― 疑惑の地“デンツ・ラン”

ペンシルバニア州の静かな山奥、デンツ・ラン。この何の変哲もない森林地帯に、南北戦争時代の莫大な財宝が眠っているという伝説がある。
デニー・パラダ氏とその息子ケム氏が率いるトレジャーハンター・チーム「Finders Keepers」は、何十年もの歳月と情熱をこの地に捧げてきた。彼らが追っているのは、1863年にサンフランシスコからフィラデルフィア造幣局へ向かう途中で消失したとされる、26個の金塊だ。その価値は現在の価格で5億ドル(約770億円)にも上ると言われている。
霊能力者の予言から始まった探求
パラダ氏の探索のきっかけは、1974年に出会った霊能力者マイケル・マリーの予言だった。マリー氏は地図上の点を指し示し、「ここに洞窟がある」と告げた。最初は半信半疑だったパラダ氏だが、2004年に友人と共にその場所を訪れ、実際に洞窟のような入り口を発見する。
内部には人工的に積まれた石壁や、松明(たいまつ)の煤(すす)と思われる跡、さらには南北戦争時代の弾丸などの遺物が見つかった。これらは伝説を裏付ける証拠となり、パラダ氏は本格的な探索へとのめり込んでいく。

科学的証拠が示した「9トンの金塊」
パラダ氏は、地中レーダーや金属探知機を駆使して科学的な調査を進めた。2010年には地球物理学の専門家を雇い、地下深くに「周囲の地質とは異なる高密度の金属反応」を確認する。
さらに2017年、ジャーナリストのウォーレン・ゲトラー氏がチームに加わり、歴史的な裏付けも強化された。ゲトラー氏は、この金塊が「ゴールデン・サークル騎士団(KGC)」と呼ばれる南軍支持の秘密結社によって盗まれ、隠されたものだと推測した。
決定打となったのは、FBIの依頼を受けた調査会社「Enviroscan」による重力計を用いた調査だ。その結果、地下に密度18〜19の物体(金の密度に近い)が存在し、その量は伝説の1.3トンを遥かに超える、7〜9トンという衝撃的な推定値が弾き出されたのである。

FBIの介入と「深夜の掘削作業」
この結果を受け、2018年3月、FBIは連邦裁判所の令状を得てデンツ・ランで大規模な発掘作業を開始した。しかし、パラダ氏たちは現場への立ち入りを制限され、車の中で待機させられた。
住民の証言によれば、発掘当日の夜、現場は照明で照らされ、重機の音が響き渡っていたという。「まるで街のように明るかった」と近隣住民は語る。FBIは夜通し何かを掘り出していたのだろうか。

「何も見つからなかった」という結末と深まる謎
2日後、FBIが下した結論は「何も見つからなかった」というものだった。パラダ氏は激怒し、「9トンあると言ったのはお前たちだ!」と詰め寄ったが、捜査官は口を閉ざし、さらに「メディアに漏らせば深刻な結果を招く」と脅しのような言葉を残して去っていったという。
その後、住民たちはFBIが去った後に装甲車が何台も列をなして走り去るのを目撃している。「空っぽの穴のために、なぜ装甲車が必要なのか?」という疑念は消えない。パラダ氏は、FBIが夜の間に金を掘り出し、秘密裏に持ち去ったのではないかと疑っている。

明らかにならない真実
FBIは発掘に関する記録の公開を渋り続けている。弁護士を通じて開示請求が行われているが、数千ページに及ぶ記録の処理には時間がかかるとされ、真相は依然として闇の中だ。
霊能力者の予言、科学的なデータ、そしてFBIの不可解な動き。すべてが揃っていながら、肝心の「金」だけが消えてしまった。パラダ氏の探求はまだ終わっていない。「金が欲しいわけじゃない。ただ、真実が知りたいんだ」と彼は語る。
デンツ・ランの森は、今もその秘密を抱えたまま静まり返っている。
参考:Popular Mechanics、ほか
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2024.10.02 20:00心霊FBIが「何もなかった」と宣言した5億ドルの財宝。科学的証拠が示した“9トンの金塊”はどこへ消えたのか ― 疑惑の地“デンツ・ラン”のページです。埋蔵金、財宝、南北戦争、金塊、デンツランなどの最新ニュースは好奇心を刺激するオカルトニュースメディア、TOCANAで