【怪奇】1874年に現れた「雲の巨人(クラウドマン)」伝説! 嵐の中から分離し、人々を執拗に追跡した“怪物”の正体

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 空を見上げて、雲が人の形に見えたことはないだろうか?

 いわゆるパレイドリア効果(シミュラクラ現象)だが、もしその「雲の人」が地上に降り立ち、あなたを追いかけてきたとしたら――。

 これは怪談でも都市伝説でもない。1874年、アメリカ・イリノイ州で実際に新聞報道された、気象史に残る奇妙な事件「イリノイのクラウドマン(雲男)」の話だ。

 一見すると19世紀の新聞によくある「三面記事の与太話」に思えるが、実はこれ、現代の気象学でも説明がつく「戦慄の自然現象」だった可能性があるのだ。

 今回は、19世紀のアメリカ中西部を恐怖に陥れた「歩く雲の巨人」の正体に迫る。

1874年6月、ウェストン近郊での悪夢

 事の発端は、1874年6月24日付の地元紙『Pontiac Sentinel』に掲載された一通の投書だ。差出人はジョン・アンダーソンという地元の農夫である。

 彼によると、その日の夕方、激しい嵐の中を隣人2人と共に馬車で移動していたときのことだった。

 突然、彼らに向かってきていた黒い雨雲の一部が「本体から分離」し、地上へと降りてきたという。ここまではダウンバースト(下降気流)のような現象とも取れる。

 だが、次の瞬間、その雲は「巨大な男の形」をとり、草原を大股で歩いて彼らの方へ向かってきたのだ。

「雲男」は馬車を執拗に追跡した。アンダーソンたちはパニックになり、馬に鞭を入れて必死に逃げた。

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 約1マイル(1.6km)ほど逃げたところで、背後で凄まじい「爆発音」が轟いた。恐る恐る振り返ると、巨人の姿は消えていたが、辺り一面に呼吸困難になるほどの「酷い悪臭」が充満していたという。

 ただの雲が「歩く」ことなどあり得ない。しかし、複数の大人が恐怖で逃げ惑い、物理的な爆発音と臭いを体験している。これは集団幻覚などで片付けるには具体的すぎる。

正体は伝説の「デッドマン・ウォーキング・トルネード」か?

 この現象を解く鍵は、現代の気象学にあるかもしれない。

 竜巻マニアの間で「デッドマン・ウォーキング(歩く死者)」と呼ばれる、非常に稀で不気味な現象をご存じだろうか。

 これは「多渦竜巻(マルチプル・ボルテックス・トルネード)」の一種で、太い竜巻の周囲に複数の細い渦が絡み合うことで発生する。この複数の渦が、まるで「歩いている人間の足」のように見え、竜巻全体が巨大な人影のように錯覚されるのだ。

 最も有名な例は、1997年にテキサス州ジャレルを襲ったF5クラスの竜巻だ。その写真を見ると、確かに黒い巨人がこちらに向かって歩いているように見える。

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画像は「YouTube」より

 1874年当時、まだ気象学は未熟だった。アンダーソンたちが目撃したのは、この「デッドマン・ウォーキング」だった可能性が極めて高い。

 雲が分離して降りてきたのは竜巻の発生(漏斗雲の着地)、爆発音は落雷か竜巻の崩壊音、そして悪臭は雷放電によって発生した高濃度のオゾンや、巻き上げられた硫黄分の臭いだったのではないか。

自然が生み出す「妖怪」のリアル

 この事件は、ネイティブアメリカンの伝承やUFO説とも結びつけられて語られることが多いが、恐らく真相は「未知の気象現象への恐怖」だろう。しかし、だからといって怖くないわけではない。

 想像してほしい。荒野の真ん中で、天まで届く黒い巨人が、轟音と共に自分を追いかけてくる光景を。それは「妖怪」や「怪物」以外の何物でもなかったはずだ。

 現代の我々はそれを「多渦竜巻」と呼んで分類することができる。だが、もし予備知識なしに遭遇したら?きっと「雲男が出た!」とSNSに投稿して逃げ出すに違いない。

 自然界には、まだまだ人間の理性を吹き飛ばす「魔物」が潜んでいるようだ。

参考:Mysterium Incognita、ほか

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