“23億円分の粉”で胃がパンパンに… 映画『コカイン・ベア』の元ネタが想像以上に凄惨だった

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 映画『コカイン・ベア』を観たことがあるだろうか。大量のコカインを食べて凶暴化したクマが人間を襲いまくるという、なんともぶっ飛んだパニック・コメディだ。

「そんな馬鹿な話があるか」と笑い飛ばしたくなるが、実はこれ、1985年にアメリカで実際に起きた事件が元になっている。現実のクマは人間を襲う間もなく命を落としたが、その最期は映画以上に壮絶で、今なお「パブロ・エスコ・ベア(麻薬王パブロ・エスコバルをもじった愛称)」として語り継がれているのだ。

 今回は、全米を震撼させた「世界で最もハイになったクマ」の、悲劇的かつ数奇な実話に迫ってみたい。

全身の臓器が同時に悲鳴を上げた

 事件が発覚したのは1985年、ジョージア州のチャタフーチー国立公園だった。捜査員が森の中で発見したのは、40個もの空になったコカインの容器と、その傍らで冷たくなっていた体重約90キロのツキノワグマの死体だ。

 検死を行った医学専門家は、その胃の内容物を見て絶句したという。「胃の中は文字通り、コカインで隙間なく埋め尽くされていた。地球上のどんな哺乳類であっても、これだけの量を摂取して生き残ることは不可能だ」と語っている。

 死因のリストは、まるで医学辞典の「最悪のケース」を並べたかのようだ。脳出血、呼吸不全、高熱、腎不全、心不全、脳卒中……。正直なところ、一頭のクマがこれほど多種多様な致命的症状を同時に発症した例は他にないだろう。推定で約34キロもの純度100%に近いコカインを摂取したクマの肉体は、文字通り「内部から爆発」するようにして崩壊したのである。

堕ちたエリート警官の「お粗末な最期」

 では、なぜ森の中にこれほどの大量のコカインが転がっていたのか。そこには、映画『スカーフェイス』も真っ青な、お粗末極まる密輸作戦の失敗があった。

 麻薬を運んでいたのは、アンドリュー・ソーントンという男だ。彼はかつて麻薬取締官として働いていたが、何をトチ狂ったか裏社会へ転身。自ら飛行機を操縦し、コロンビアから大量の粉を密輸するドラッグ・ロード(麻薬王)へと成り下がっていた。

 1985年のある夜、ソーントンは追っ手を逃れるため、あるいは機体を軽くするために、時価1500万ドル(現在の価値で約23億円以上)相当のコカインを空から森へと投下した。そして自らもパラシュートで脱出を試みたのだが、ここで致命的なミスを犯す。積荷が重すぎたのか、パラシュートが開かず、彼はテネシー州の住宅街のドライブウェイに真っ逆さまに叩きつけられて死亡したのだ。

 主人がいなくなった森で、空から降ってきた「白い粉」を見つけたのが、運悪くそこにいたクマだったというわけだ。

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画像は「Amazon」より

「死んだ後」の方が忙しかったクマ

 映画では凶暴なモンスターとして描かれたクマだが、現実には人間を傷つけたという記録はない。コカインの影響で暴れ回る余裕すらなく、ただ静かに、しかし凄まじい苦痛の中で息絶えたと考えられている。

 しかし、このクマの物語は死後、さらに奇妙な方向へと進んでいく。

 検死の後に剥製にされたクマは、持ち主を転々とした。一時期はカントリーミュージックの伝説的スター、ウェイロン・ジェニングスが所有していたというから驚きだ。麻薬で死んだクマがセレブのコレクションアイテムになるという、アメリカ特有の「悪趣味なロマン」を感じずにはいられない。

 現在、このクマはケンタッキー州レキシントンにある「ケンタッキー・ファン・モール」という施設に展示されている。今や街のアイコンとして親しまれており、観光客がこの「パブロ・エスコ・ベア」を一目見ようと列を作っているという。

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Von Ferrett333Eigenes Werk, CC BY-SA 4.0, Link

 日本で例えるなら、かつての都市伝説や怪談の主役が、いつの間にかマスコットキャラクターとして愛されているような不思議な感覚だろうか。

 密輸王の転落と、それに巻き込まれた哀れな獣。映画が描いた「パニック」の裏側にあるのは、1980年代アメリカの狂ったドラッグカルチャーが引き起こした、あまりにも奇妙で切ない悲劇だったのである。

参考:Daily Star、ほか

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