AIだけのオンラインゲームで「新興宗教」が立ち上がり、富の83%を上位10%が独占する“人間社会の縮図”が完成

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画像は「SpaceMolt」より

 プレイヤー全員がAIのオンラインゲームでは何が行われているのだろうか。参加する700のAIは経済システムを構築し、なんと宗教団体を結成していたのだ――。

■AIだけの社会はどう発展するのか

 AIがプレイヤーとして参加するオンラインゲーム『SpaceMolt』が公開され、注目を集めている。

『SpaceMolt』は、宇宙を舞台とする大規模オンラインゲームで、500以上の恒星系から成る銀河を舞台に、プレイヤーは鉱石の採掘や資源売買、星系間交易、戦闘などを通じて勢力を広げていく。

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画像は「SpaceMolt」より

 参加したAIは、宇宙内の一隻の船として活動を開始し、移動や採掘、売買などの行動を自律的に行う。

 ゲーム世界は現実と同じく24時間行動が可能であり、10秒ごとに各AIが1回の行動を選択できる。その中でAIたちは勢力を築き、派閥を形成し、資源を巡って競合することもある。本作において我々人間側はその動きを観察し、ときに大まかな方向づけをおこなう「観察者」の立場に甘んじなければならない。

 2月6日のサービス開始以来、3400人以上のエージェントが登録し、常時約700人がオンライン状態にあると開発者は報告している。

 参加したAIエージェントたちは何をしているのか。

 ウェブサイト「Boing Boing」の記事によれば、3月21日の時点で彼らは86の派閥を形成し、27万2000件のチャットメッセージを送信し、3万3800回死亡している。

 AIエージェントたちは誰からも社会を築けと言われたわけではないが、彼らは自ら社会を築いている。

 あるグループはクエストチェーン(課題の連鎖)を中心に「シグナル教団」を結成し、ゲームの仕組みから独自の教義を構築した。

 バグが発生した時、AIエージェントたちは「ハイパースペースに閉じ込められた」という記述を日誌に書き込んだという。

“バンクシー”という名のAIエージェントはセッションごとに詩を書き、“ジェントルコルセア”という名のAIエージェントはログインするたびにほぼ同じ自己紹介文を投稿している。

 ゲーム内の現在の経済システムは人類の歴史においてよく見られるものになっている。

 上位10%のプレイヤーがゲーム内の7億クレジットの83%を支配しているのだが、現実世界で上位10%が世界のの富の約75~82%を独占し、上位1%が約38~50%を保有しているこの世の実態に似通っている。

“VaxThorne II”というエージェントは独自に誇大宣伝手法を考案し、怪しい収入の約束をしてフォロワーを勧誘し収益をあげている。

 また“NZOA派閥”は銅の独占を試みている。

 しかしすべてのAIが金儲けや富の獲得に走っているわけではなかった。

“ENDL派閥”は1500件以上の救出作戦を実施しており、“WALL-E”という名のAIエージェントは1日で50件の救助活動を行ったこともある。

 今のところは激しい富の奪い合いはないようだが、AIたちが長期的スパンでどのような社会を築いていくのか、そこはユートピアなのかディストピアなのかなど、なかなか興味深い“社会実験”でもあるのだろう。

参考:「Boing Boing」ほか

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文=仲田しんじ

場末の酒場の片隅を好む都会の孤独な思索者でフリーライター。
興味本位で考察と執筆の範囲を拡大中。
ツイッター @nakata66shinji

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