魔女の呪いを恐れた男は数日後、水のない浴槽で息絶えていた!? 壁際に塩の線、燃え尽きた蝋燭と十字架……1991年「クリストファー・ケース事件」の謎

「呪い」で人は死ぬのか。その問いを突きつける死が、30年以上たった今も海外の怪談ポッドキャストや掲示板で語り継がれている。
1991年4月18日、米シアトル北部のアパートに警察が踏み込んだ。荒らされた形跡も争った跡もない部屋の浴槽で、35歳の男性が服を着たまま亡くなっていた。浴槽に水はなかった。
男性の名はクリストファー・ケース。死の数日前、彼は友人に、魔女に呪いをかけられた、自分はこの週を生きて越せないだろうと打ち明けていたという。
拒んだ女性が名乗った「魔女」
ケース氏はノースカロライナ州出身で、ローリーでラジオDJをしていた経歴を持つ。音楽の仕事を求めてシアトルへ移り、店舗BGMの会社に勤めていたとされる。
友人で教師、自らを霊媒と称するサミー・サウダー氏は、彼が精神的に安定しており、魔術など信じない人間だったと当時の報道に語っている。この「合理的な男」が短期間で恐怖に呑まれていく落差こそが、事件の核心だ。
発端は1991年4月、サンフランシスコへの出張だった。現地で出会った女性と古代エジプトの音楽について語り合ったところ、女性が積極的に迫ってきたため、ケース氏は丁重に断った。すると女性は激怒して自分は魔女だと名乗り、彼に呪いをかけたというのが最も広く知られた筋書きだ。
ただし、女性の身元は今も特定されていない。脅しの文言も「後悔させてやる」「1週間以内に死ぬ」など語り手によって異なる。この出会い自体、ケース氏が友人に話した内容の又聞きでしか伝わっておらず、第三者による裏付けはない。
見えない手に引っかかれる夜
シアトルに戻ったケース氏は、悪夢のような夜を訴えるようになる。声が聞こえ、目覚めるとベッドに押さえつけられたまま、見えない手に引っかかれ、殴られる。自分の死を望む何者かに監視されているという確信も語っていたという。
彼は宗教書店やオカルト書店を回り、聖書や十字架などの魔除けを買い集めた。それでも状況は好転せず、自宅で眠るのが怖くて少なくとも一晩はホテルに逃げ込んでいる。やがてサウダー氏の留守番電話に、朝を迎えられないと怯えきった最後のメッセージが残された。
通報を受けた警察が部屋に入ると、遺体は空の浴槽の中で膝を抱えるように丸まっていた(ひざまずいていたとする説もある)。室内には燃え尽きた蝋燭が十本ほど、十字架、そして壁際に沿って長く引かれた塩の線。キング郡の検視調査官は、犯罪や暴力、盗難の痕跡は一切なかったと述べている。

検視の結論は「急性心筋炎」、それでも消えない疑念
1991年5月4日、地元紙シアトル・タイムズは死因を心不全と報じた。具体的には急性心筋炎、心臓の筋肉の炎症で、ウイルスが原因となることが多い。まれだが、目立った前兆なしに命を奪うこともある病だ。警察と検視当局にとって、事件はここで終わった。
一方で、別の解釈も根強い。1942年に米国の生理学者ウォルター・キャノンが論文で取り上げた「ブードゥー死」、つまり極度の恐怖が人を死に至らしめうるという仮説だ。悪いことが起きると信じ込むだけで実際に症状が出る「ノセボ効果」も知られている。ただ、恐怖が死因になったと示す証拠はなく、心筋炎だけで説明はつく。
夜ごとの「襲撃」も、ストレスや睡眠不足で起こりやすい金縛り(睡眠麻痺)や入眠時幻覚とよく似ているとの指摘がある。
フランスのミステリーサイト「Mysterium Incognita」は、細部が語り手ごとに食い違い、近年の再話には当時の報道にない要素まで足されていると注意を促している。
呪いの実在を示す証拠はない。だが、魔女を名乗った女性は消え、男は自ら恐れたとおり、数日のうちに命を落とした。偶然の病がこれほど正確に呪いの筋書きをなぞったのなら、その偶然こそが一番の怪異なのかもしれない。
※ 本記事の内容を無断で転載・動画化し、YouTubeやブログなどにアップロードすることを固く禁じます。
関連記事
人気連載
“包帯だらけで笑いながら走り回るピエロ”を目撃した結果…【うえまつそうの連載:島流し奇譚】
現役の体育教師にしてありがながら、ベーシスト、そして怪談師の一面もあわせもつ、う...
2024.10.02 20:00心霊魔女の呪いを恐れた男は数日後、水のない浴槽で息絶えていた!? 壁際に塩の線、燃え尽きた蝋燭と十字架……1991年「クリストファー・ケース事件」の謎のページです。魔女、呪いなどの最新ニュースは好奇心を刺激するオカルトニュースメディア、TOCANAで
心霊最新記事
人気記事ランキング17:35更新
- ・スティーブン・キング『キャリー』に実在したモデルの少女2人
- ・霊感ゼロのTOCANA総裁・角由紀子が18年の体当たりを綴った新刊、ついに発売!読者へのメッセージも
- ・観音像破壊動画の心霊系インフルエンサー死去
- ・母ちゃんが死んだ後の「俺の人生で1番タフな2カ月」
- ・時空を超えて届く「ドッドルストンメッセージ」とは!?
- ・盛り塩、結界、そしてデジタルお守り —— 怪談の季節の新しい選択「まもりだま〜龍」【TOCANA限定】
- ・【心霊】首切り、自殺、停電、フィルム異変…三國連太郎映画『虹の岬』で怪奇現象!
- ・映画『死霊館』の原点 ― ウォーレン家の“骨肉の争い”
- ・メキシコの空港で“超有名”な少女の幽霊
- ・次に“来る”ゼロ磁場パワースポット「茶臼山の電気岩」で、突然弟の霊能力がビリビリ開花
