【暗号解読】ゾディアック事件の犯人の名前が判明した!? AIが導き出した”13文字の答え”とは

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 現在も継続捜査中の未解決の連続殺人事件「ゾディアック事件」の暗号が解読されたのか――。

■殺人鬼で愉快犯“ゾディアック”の暗号を解読か

 今年7月のトカナの記事で、「ブラック・ダリア事件」と「ゾディアック事件」の“同一犯説”を紹介したが、事態はさらに一歩進んでいる。

 2025年12月からスタートしたポッドキャストシリーズ『Killer in the Code: Solving The Black Dahlia & Zodiac Cases』で“同一犯説”を展開しているアレックス・ベイバー氏が、自ら「ゾディアック事件」の暗号を解いたと主張しているのだ。

 殺人鬼ゾディアックが残した4つの暗号の中で最も短い「Z13」は「私の名前は…」というフレーズから続く13文字のみで構成されている。つまりこの暗号が解読できれば犯人の名前が割り出せる可能性が大いにあるのだ。

 法医学と暗号学を独学で学んでいるベイバー氏は数年前、人工知能(AI)を使ったプログラミングも学び始め、13文字の暗号に合う可能性のある名前をAIプログラムに列挙させ、挙がった7100万通りもの名前から社会保障番号や出生証明書などの過去の記録と照らし合わせると、約93%は実在の人物ではないことが分かり除外した。

 その後もリストを絞り込み、ゾディアックの身体的特徴(白人、中年、身長183センチ)に合致しない人物を除外した後、ベイバー氏は暗号の答えとして「マービン・メリル」という名前を突き止めたのだ。

 驚いたことにこの名前は「ブラック・ダリア事件」の容疑者であるマービン・マーゴリスの偽名だったのだ。

 マービン・マーゴリスは「ブラック・ダリア事件」で殺害されたエリザベス・ショートの元交際相手であり、事件当時は友人関係にあったとされている。

エリザベス・ショート(写真:Los Angeles Police Department/Wikimedia Commons/パブリックドメイン)

 マーゴリスは1993年に亡くなっているが、ベイバー氏によれば彼が両事件の同一犯であったことになる。

 ベイバー氏の暗号解読は国際的な注目を集め、犯罪記者で小説家のマイケル・コネリー氏の関心も引きつけた。「私には疑う余地はない」とコネリー氏は「New York Times」紙に語っている。

 これで一件(二件)落着ということになるのだろうか。しかし疑問の声も上がっているようだ。

 暗号学に関する著書を10冊以上執筆しているドイツのコンピュータ科学者、クラウス・シュメー氏は、「Z13」は簡潔すぎるため事実上解読不可能だと述べている。

「メッセージが短すぎる。可能性が多すぎます」(シュメー氏)

 しかしシュメー氏によればAIが数十年前、あるいは古代の謎さえも解明する可能性を秘めていることは事実であるという。AI支援手法のおかげで、何十年も解決を阻んできた暗号解読の難問が次々と解読されているのだという。

 例えばこの9月下旬、トルコ出身の22歳のサイバーセキュリティ研究者、エレン・ボズブルト氏は、AIを使って第二次世界大戦中にドイツのスパイ、ヴァルター・ケーラーが残した5つの暗号化されたメッセージを解読した。

 その数週間後、ロシア人エンジニア、アントン・ザイツェフ氏が、冷戦の最盛期にカリーニングラード(旧ケーニヒスベルク)でガラス瓶の中から見つかった暗号化されたメッセージをAIを駆使して解読に成功している。

 こうした進展は刺激的である一方で、暗号学の専門家であり著述家でもあるエロンカ・ドゥニン氏は、AIは「驚くほど物事をでっち上げるのが得意だ。幻覚を見たり、空白を埋めたりする」と指摘する。

「一見正しいように見える解決策が必ずしも解決策とは限らない。どのようにしてそこに至ったのかを説明できなければならなりません」(ドゥニン氏)

 さらにAIは古い暗号の解読や死語の翻訳で大きな功績を称えられているが、依然として人間が主導権を握っているとドゥニン氏は述べている。シュメー氏もこれには同意しているという。

 ドゥニン氏は、AIが暗号解読におけるあらゆる推測作業をなくすことは決してないだろうと確信している。

「あらゆるAIプラットフォームがあらゆる暗号に挑戦したとしても、未解決の暗号は依然として存在するでしょう。そして問題は、これが詐欺なのか、それとも人間もAIもまだ解明できていない手法を使っているだけなのか、ということになります」(ドゥニン氏)

 はたして「Z13」解読されたことになるのか。それともまだほかにも解釈の余地があるのか。“同一犯説”はなかなか魅力的だが、いったんは真偽の判断を保留したほうがよさそうだ。

参考:「Popular Mechanics」ほか

文=仲田しんじ

場末の酒場の片隅を好む都会の孤独な思索者でフリーライター。
興味本位で考察と執筆の範囲を拡大中。
ツイッター @nakata66shinji

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