NASAの名機「スウィフト」が数週間以内に地球へ落下!? 救出機は先に燃え尽き… 2000回超のガンマ線バーストを捉えた望遠鏡の最期

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 宇宙で最も激しい爆発を21年間追い続けてきたNASAの観測衛星が、いま静かに地球へ落ちようとしている。ニール・ゲーレルス・スウィフト観測衛星だ。

 民間企業のロボット衛星による前代未聞の「救出作戦」は失敗に終わり、救出役の機体のほうが先に大気圏で燃え尽きた。NASAは10月23日、スウィフトの運用終了を発表し、数週間以内に再突入する見込みだとしている。

太陽に引きずり下ろされた「宇宙の万能ツール」

 スウィフトは2004年11月20日に打ち上げられた重さ約1450kgの衛星だ。主任務の想定期間はわずか2年だったが、実際にはその10倍以上の期間、観測を続けた。

 本来の標的は、数秒で光が消えてしまう「ガンマ線バースト」だ。爆発を検知すると、およそ1分で望遠鏡をその方向に向け、残光が消える前に捉える。NASAによれば、これまでに観測したガンマ線バーストは2000回を超え、超新星爆発も1400件以上を記録。関連する論文はおよそ7000本に上る。

 2005年5月には、わずか0.03秒しか続かなかった短いバーストの残光を世界で初めて捉え、中性子星どうしの合体が起源とする説を裏付けた。2018年には、亡くなった初代主任研究者ゲーレルス氏の名が冠されている。

 その名機を追い詰めたのが太陽だった。2024年に11年周期の活動極大期を迎えた太陽からフレアやコロナ質量放出が相次ぎ、地球の大気が膨張。スウィフトにかかる空気抵抗が強まり、高度が想定以上の速さで落ちていった。

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NASA – Obtained from Swift web site., パブリック・ドメイン, リンクによる

3本のアームを持つ救出機LINK、まさかの「スピン」

 NASAは2025年9月、アリゾナ州のKatalyst Space Technologiesと契約し、スウィフトをつかんで高い軌道へ押し上げる計画に乗り出した。同社は1年足らずで救出機「LINK」を開発し、2026年7月3日にマーシャル諸島のクェゼリン環礁からペガサスXLロケットで打ち上げた。

 ところが、軌道上でLINKは姿勢制御の不具合に見舞われ、制御を失って回転し始めた。スラスターで回転を止め、新しい飛行ソフトウェアも送り込んだが、その立て直しで推進剤を使い果たしてしまう。捕獲と軌道上昇に必要な燃料が残っていないと判断され、NASAは8月18日、救出を断念すると発表した。

 それでもLINKは実証ミッションに切り替え、9月第1週にはスウィフトから12〜15kmの距離まで接近。本来スウィフトをつかむはずだった3本のロボットアームも展開した。そして85日間の運用を終え、9月25日に救出対象より先に大気圏へ再突入した。

 NASAのアイザックマン長官は、望んでいた結果ではないとしつつも、見返りが大きければ素早くリスクを取るべきであり、挑戦する価値があったとの考えを示している。

高度275kmで最後の観測、地上への危険は

 救出の望みが絶たれたあと、チームは空気抵抗を減らすために止めていた観測を再開し、数百の天体を観測した。だが観測の再開で抵抗が増え、降下は再び加速した。

 10月20日、高度約275kmで機体は抵抗に耐えきれずセーフモードに入り、これが最後の観測となった。ペンシルベニア州立大学の運用チームが再突入に備えて運用を終えるコマンドを送っている。

 地上への影響について、宇宙監視企業LeoLabsは、機体が大きいため一部の部品が燃え残る可能性はあるとしつつ、財産や人に深刻な被害が出る確率は非常に小さく、海か無人地帯に落ちる可能性が高いとの見方を示している。

 なお、軌道データを公開するCelesTrakでは、日本時間11月1日夜の時点でスウィフトはまだ軌道上にあり、平均高度は約220kmと算出される。編集部が確認できた範囲では、11月2日現在、再突入の確認は発表されていない。

 すぐに後を継ぐ衛星はなく、宇宙の「一瞬の閃光」を真っ先に捉える目は、しばらく空白になる。それでも、スウィフトが残した膨大な観測データからは、まだ誰も気づいていない宇宙の異変が掘り起こされるかもしれない。

参考:NASA Science、NASA Science(Swift Blog)、CNN(KEYT)、Interesting Engineering、CelesTrak

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