>  > 放射能を無効化する?「核変換」テクノロジー

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川口友万

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 原発の最大の問題は放射性廃棄物だ。福島第一原発の汚染水が海洋に流れ出していたことで東京電力が再び責められているが、原発には放射性物質の問題が必ずついてまわる。発電に使用した核燃料から燃え残ったウランとプルトニウムを取り除き、再び燃料として利用するが、その際に高レベル放射性廃棄物が出る。また、原発の建物自体や廃液や廃材、作業服や部材などで放射性物質を含むものは低レベル放射性廃棄物と呼ばれる。

 原発が稼働する以上、こうした核廃棄物は必ず出るが、問題はこれら放射性廃棄物の処分方法が事実上ないということだ。

 放射性廃棄物を無害化する技術を、今のところ人類は持っていない。ではどうするかというと地下に穴を掘って、そこで保管する。家の中で出たゴミを庭に積み上げておくようなものだ。原発が「トイレのないマンション」と揶揄されるゆえんである。庭にどんどんゴミ袋は積み上がっていく。安全とか安全じゃないとかそういう問題ではなく、これはどう考えてもシステムとして破たんしている。

 日本原子力研究開発機構によると、日本にある高レベル放射性廃棄物は現在1万7000トン。さらに100万キロワット級の原発からは毎年20トンずつ排出される(今は稼働していないが)。積み上がっていく致死性のゴミの山を前に、実情を知る人間たちは茫然としていたのが本音だろう。地下に埋めるといっても、今の福島を前に承諾する自治体があるとは思えない。いくら金目のものを積んでも、だ。

 完全に手詰まりに見える放射性廃棄物問題。これをなんとかできるかもしれない技術があるとしたら? それが核変換(原子核変換ともいう)だ。


■核変換技術

 1988年、核変換によって放射性廃棄物を無害化する「群分離・消滅処理技術研究開発長期計画」、通称「オメガ計画」がスタートした。放射性物質だろうが何だろうが、原子核の周りを電子がまわるという原子の基本構造は変わらない。この原子核に強力な電子ビームや高エネルギーガンマ線を叩き込み、原子構造を変えて、毒性の低い別の物質にしてしまうのだ(ターゲットとなる核物質の種類により、使うビームの種類や反応経路は変わる)。核物質をすべて無害化できるわけではないし、基本的には半減期が何十万年という放射性物質を半減期が数百年程度の短い核物質に変えることが目的だが、白金などの安定化物質に変換できるものもある。これらは燃料電池車の触媒などに利用可能だ。核変換が実用化すれば、放射性廃棄物の量も保管期間も大幅に減ることになる。
 
 しかし電子ビームで核変換を行うには、非常に大規模な設備が必要であることや放射性廃棄物を核物質ごとに正確に分別すること、反応の制御など課題は多い。本格的な核変換実験施設の建築もこれからだ。新聞報道によれば、総工費220億円で2015年度に着工、およそ30年後の実用化を目指すという。

30年後? 30年後、海賊王に俺はなる! ……そんなことを言われても、困る。


■常温核融合はあります! 科学のパラダイムシフトか?

 ここからが本題だ。核変換が放射性廃棄物問題の切り札であることはわかった。しかし電子ビーム方式ではあまりに気が長い。もっと手早く実用化する手段はないのか?

 三菱重工の岩村康弘博士らはパラジウムと酸化カルシウムでできた薄膜に、セシウムを添加、そこに重水素ガスを透過させるとセシウムがプラセオジウムという別の金属に変わることを突き止めた。同じくストロンチウムはモリブデンに、タングステンは白金に変わったという。薄膜に重水素のガスを透過させるだけで核変換が起きたのだ。電子ビーム施設のような大規模な装置やエネルギーを使わず、ごく単純な(あくまで電子ビームに比較して、である)装置で核変換が起きたのである。

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