怪獣の霊に取り憑かれていた円谷プロ!? “特撮の神”を悩ませた怪奇現象・ベスト3!

■不思議その3! 怪奇現象と怪獣供養!

 さあ、いよいよ最後の不思議だ。

 ウルトラシリーズに欠かせない怪獣。毎回登場する個性豊かな怪獣は、いわばその回ごとに用意された事実上の主役でもある。そんな怪獣も、最期はウルトラマンの必殺光線を受けて華々しく散ることになる。しかし、実際に爆発するのは、発泡スチロールやカポックなどで作られた人形。着ぐるみそのものは、少し前まで砧の怪獣倉庫と呼ばれる場所に保管されていた。現在では怪獣倉庫自体が取り壊されているため、見ることはできないが、かつてはそこに大量の怪獣がひしめき合っていたのである。
 
 そんな怪獣倉庫には、絶えず無数の「何かの」気配がするという噂が囁かれていたということだ。その気配とは、お化けとか幽霊といった類いのものというよりも、どちらかといえば妖怪のようなものだったという。一方で円谷プロの関係者たちは、こうした噂が流布していた時期に、偶然にも円谷プロ事務所の近辺で事故やトラブルが相次いでいたことを憂慮していた。

 そして、1970年に初代社長、特撮の神様として知られる円谷英二も亡くなり、さらに3年後には2代目社長円谷一もこの世を去っていたことも悩みの種であったことだろう。そのため、厄払いと、それまで番組のために命を落としたたくさんの怪獣たちの弔いという名目で、前代未聞の怪獣供養というイベントを企画している。

 怪獣供養が行われたのは1973年4月22日のこと。当時東京・世田谷区にあった二子玉川園で大々的に執り行われ、2,000人ものファンが駆けつけることとなった。

 特設の祭壇には数多くの怪獣、宇宙人の遺影が飾られ、司会進行役は名優・岸田森が務めたということだ。このイベントでは、実際に撮影に使用した怪獣の着ぐるみを火葬に付しており、その後墓碑も建立されている。果たして怪獣供養の後からしばらくも円谷プロは業績の悪化とオイルショックに悩まされることとなったが、少なくとも怪獣倉庫の怪異は以降は噂に上がることはなくなっている。

 いかがだろうか。

 日本特撮の開祖となった円谷プロ。その半世紀以上もの歴史の中には、今回ご紹介したような摩訶不思議な逸話も少なくない。現在では世界中にファンを擁し、ギレルモ・デル・トロなど著名な映画監督にも愛されている映像制作会社であるにもかかわらず、何度も経営母体が変遷しており、盤石とはかけ離れた状況に置かれている。まさに神懸かりなアンバランス状態の中でもかろうじて運営が続いているのが何より一番の不思議ではあるのだが、やはり何かと暗いニュースも多い今のような時代。自由と幸福を守り、人々の心に希望を与えるヒーロー、ウルトラマンを生み出した会社だからこそ、なんとしても経営を続けていってもらいたい。
(松本ミゾレ)

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