人間がやってきたことはすべて“変”なんじゃないか? ― 『奇界遺産2』佐藤健寿インタビュー 圧倒的写真と秘話
フィリピン・マレルド
――なるほど、やはり苦難がつきものなんですね。そういえば、苦難で、思い当たるのがフィリピンで行われているマレルドです。写真はなかなか衝撃的でした。参加者は処刑されるキリストを模し、十字架を背負い丘まで歩き、その十字架に貼り付けにされる。しかもちゃんと手のひらには釘も刺されるという徹底ぶりはスゴイ。
佐藤 この祭のキリスト役は、リピーターが多いそうです。30回年連続で磔になっている人もいる。見学者も、何万人と詰めかけるんですが、トラブルが頻発するようで、ボクも財布をスられました。
――聖キリストの祭典なのにですか?
佐藤 最初は柵で遮られているんですが、祭りの最後になると、柵が取り払われて、一斉に見学者たちが磔られた人たちの近くに走って行くんです。もうバーゲンセールみたいな勢いで。そこで、もみくちゃになって写真を撮っている時、やたらと足下を子どもがうろちょろしていてたんですけど、終わったら財布がないことに気がつきました。すぐに警察に行ったんですけど、交番の外に行列が出きていて、盗難された人たちが大勢いましたよ。入ったら手慣れた様子で『携帯か? 財布か?』って言われちゃって(苦笑)。毎年恒例みたいですね。外国人たちが狙われるみたいです。
――地元の人達にとっては不謹慎ながら、ある意味収穫の日なのかもしれませんね。これらは、撮影ができるというお話を今、聞きましたけど、たとえばほかに収録されている場所で撮影を咎められたりしたことはあるのでしょうか?
佐藤 意外とないですね。『奇界遺産』シリーズに収録されている地方は、田舎が多いんです。なので、田舎の人はおおらかで逆に『よく知っているね』『どうやって知ったの?』『撮ってけ、撮ってけ』的なことを言われたりもしますね。
――アットホームな感じで迎えてくれるんですか。
佐藤 歓迎とまでは言えないですけどね。撮影してきた地方が頻繁にマスコミに報じられるところだったら、いろいろあると思うんですけど、あまり世界に出ていないもののほうが多いので逆に、行くと向こうの人にびっくりされます。
――佐藤さんはそんな世界にあまり知られていない不思議な地域を撮影されていますが、不思議な体験って起きないんでしょうか? 例えば、夢に神様が出てきた、とか。
佐藤 ないですねぇ…驚くほど。心情的に、一個一個にあまり深く踏みこまないないからかもしれません。パワースポットなどに行って何かしらの存在を感じてしまう人は、そこに感情移入をするタイプじゃないですか。でも、そういう事をして、いつか自分が特別だとか勘違いしてしまう人を多々見てるし、自分は常に、所詮は余所者であるし、中途半端に理解した気にならない、という事はいつも心がけています。 でも今もし身体に不調が起こったとしても、なにに呪われているのかわからないんですよね(笑)。だから鈍感でいることも、こういう取材を続ける秘訣なのかもしれませんね。
――なるほど、tocana的にはちょっと残念です(笑)。
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2024.10.02 20:00心霊人間がやってきたことはすべて“変”なんじゃないか? ― 『奇界遺産2』佐藤健寿インタビュー 圧倒的写真と秘話のページです。佐藤健寿、奇界遺産などの最新ニュースは好奇心を刺激するオカルトニュースメディア、TOCANAで