アップルストア大好き小学生、全米アイドルへの軌跡 ~読むだけで希望が湧く、トレバー君の話~【後編】
1カ月間悲しみに沈んだというトレバー君。しかし、彼は諦めなかった。「Xファクター」に見切りをつけ、オンラインビデオの作家や愛好者達が集まるイベント「VidCon」で知り合った、彼と同様にYouTubeを拠点として活動を行うパフォーマー仲間たちとOur2Life(O2L)というユニットを結成。活動を幅を広げることにしたのだ。そして、そんな地道な活動が日の目を見て、2013年9月にデビューシングル、「Someone」を発表。続いて12月には2曲目のシングル、「The Dark Side」をリリースすることに。この曲はEDM(エレクトロニック・ダンス・ミュージック)チャートで25位を記録している。
ニューヨークのアップルストアでのパフォーマンスから苦節4年。名実ともにプロのアイドルシンガー、トレバー・モーランが誕生したのだった。
ちなみに、彼のデビュー曲、「Someone」のお披露目が行われたのは、くしくも「Xファクター」の下敷きとなった競合番組、「アメリカンアイドル」の司会を務めるライアン・シークレストのWebサイトだったというのだから興味深い。捨てる神あれば拾う神あり。見る人は見てくれているのである。
「Xファクター」への出演後、トレバー君は改めて、自分がプロのパフォーマーになりたいということを確信したという。そして、現在は学校に通いながらアメリカ国内を回ってコンサートを行っている。2013年11月にはニューヨークでIM5、ココ・ジョーンズといったビッグネームとも共演。ゆくゆくは彼が尊敬するレディー・ガガやジャスティン・ティンバーレイクのようなスターになることを夢見ている。
■成功は“懲りない少年”に降り掛かる
アップルストアでのお寒いゲリラパフォーマンスから、全米でのプロデビューへ。早い時期にYouTubeの可能性に目をつけたこと、アップルストアという高いブランドバリューを(結果的に)上手く利用したこと、そして彼自身のチャーミングなキャラクターなどなど、トレバー君の成功の理由はいくつも挙げられるだろう。ITが進化し、インターネットを介して個人が容易に世界にアクセスできる現代でこそのサクセスストーリー。タイミングや環境が追い風になったとも言えるだろう。実際、このトレバー君の成功は、20年前ならばあり得ない。
しかし、決定的な理由は極めて普遍的でシンプル。彼が懲りずに歌い踊り続け、YouTubeへの投稿を続けてきたことにある。周囲の冷たい反応のなか、空気を読まずにアップルストアで独り、奇妙かつ愉快なパフォーマンスを繰り広げYouTubeで配信し続ける。オーディションで落ちて人生最大のブルーな気分に陥っても、別のアプローチを探す。そんな1つ1つの行動の積み重ねが、1人の少年をプロシンガーとしてデビューするに至らせたと思うのだ。
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2024.10.02 20:00心霊アップルストア大好き小学生、全米アイドルへの軌跡 ~読むだけで希望が湧く、トレバー君の話~【後編】のページです。ワタナベヒロユ機、アップル、アメリカンドリーム、ダンスなどの最新ニュースは好奇心を刺激するオカルトニュースメディア、TOCANAで