【統計学】失敗を未然に回避するヒヤリ・ハットの法則! 魔法の比率「1:29:300」
■労働災害の98%は予防できるー災害防止の父ハインリッヒが言いたかったこと
かつて、日本の国鉄では、労災事故防止を目的として330運動(1+29+300)としてハインリッヒの法則が組み込まれていた。ある程度年配の方であれば当時の駅、この330をかたどった四角錐が立っていたのを記憶されている方もいらっしゃるだろう。
「1:29:300」という数字に着目されがちなハインリッヒの法則であるが、ハインリッヒは、「重要なのはその数字ではなく、それらが同じ原因に根ざしているという事実である。ゆえに膨大なヒヤリ・ハット事象の原因を調べてそれを潰していくことで、事故・災害も防げるのだ」と主張していたのである。
現代において、あらゆる安全管理の基礎となっているハインリッヒの法則は、単に労働災害に留まらず人為的ミスによる災害を検証するうえでも大変重要な法則となっている。その後、安全管理の分野の研究が進み、アメリカのフランク・バードが同国の21業種297社、1,753,489件のデータから「重大事故:軽傷事故:物損事故:ニアミス=1:10:30:600」というデータや、70年代にはイギリスの保険会社が約2万件のデータから「重大事故:軽中傷事故:応急処置を施した事故:物損事故:ニアミス=1:3:50:80:400」という、より細かな確率が示されているが、根源にあるのはハインリッヒの法則である。
災害防止の父と呼ばれるハインリッヒは「重大事故の98パーセントは事前に防げる」と語り、些細な「ヒヤリハット」を見逃さずに対策していくことの重要性を説いているのだ。ハインリッヒの言いたかったこと、それはいかなる不祥事・重大事故も決して偶発的に起きたものではなく、小さな予兆に気を配っていれば必ず事前に防ぐ事ができるということなのである。
■ビジネスにも適用できる「1:29:300」
現在ハインリッヒの法則はビジネスの分野でも広く適用されている。例えば、「1件の会社の存続にも関わる失態の裏には、29件の株主、顧客から寄せられたクレームが存在し、さらにその裏には300件の社員が内々にしていた欠陥が存在していた」ということなどだ。さらに言えば、認識すらされていなかった事例はその数倍もあることになるだろう。ハインリッヒが鳴らした警鐘によれば、大失態を防ぐためには日頃から些細なミスを潰しておく必要があるということになる。
『サービス・マネジメント』(カール・アルブレヒト、ロン・ゼンケ共著、ダイヤモンド社)によれば、「不満を持った顧客の96%は、企業に対して何も言わない。一般にクレームが1件あると、問題を抱えた顧客が他にも24人存在することになり、そのうち6件は深刻な問題なのである」と述べられている。つまり、ハインリッヒの法則によれば、29のクレームは、不満をもった顧客のうち、わずか4%が発するクレームにすぎず、仮に29件のクレームが発せられたとするなら、不満をもった顧客は単純計算で725人いるということになり、会社側の認識よりもはるかに大きな数字となる。顧客は、企業が感じている以上に、サービスに対して不満を持っていると考えるべきなのだ。
このように顧客の側からの視点を加えると、顧客の不満、クレームをいかに迅速に効率的に察知するということが、重大な失態を回避するだけでなく、顧客の不満足を満足に変え、顧客維持率を高める上で非常に重要なポイントだということが分かるのである。
■魔法の比率「1:29:300」は恋愛にも適用できる?
ハインリッヒの法則は、統計的比率であるからさらに広義の捉え方をすれば様々な事象に対応できそうだ。例えば恋愛はどうであろうか?「1回の結婚の裏には、29回の恋愛があり、300回の一方的な憧れがある」などとも捉えることができる。前述のようにあくまで数字は目安であり、一回の恋愛の裏にはその10倍の一目惚れや失敗した告白があるとすれば、恋愛へたどり着くことができなかった敗因を研究することによって次なる恋愛を成就させやすくなるかもしれない。
日頃犯している失敗の陰に潜む「1:29:300」のハインリッヒの法則を意識すれば、痛手を被る事は無くなるかもしれない。ちなみに厚生労働省はサイトにおいて、ヒヤリハットの事例を図解しているので、参考にされてはいかがであろうか。
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2024.10.02 20:00心霊【統計学】失敗を未然に回避するヒヤリ・ハットの法則! 魔法の比率「1:29:300」のページです。アナザー茂、ビジネス、ハインリッヒの法則、ヒヤリ・ハットなどの最新ニュースは好奇心を刺激するオカルトニュースメディア、TOCANAで