【3.11震災から4年】被災者の霊に憑依された男?が僧侶に語った話

 また、こんな声もあったようです。

「アイとサトコのとこへ行きたい」

 こう話すのは、成人男性のようです。津波で子どもを2人亡くしたようですが、その喪失感から、彼は自殺したと語ります。死んでもなお、2人の子どもに会えていないのでしょうか…。

 4歳の男の子が取り憑いたこともありました。どうやら、津波で亡くなった子どものようでした。僧侶として成仏させることも仕事です。その男の子に亡くなったことをわからせないといけないと思い、声をかけました。

 「君は死んだんだよ」

 僧侶がそう言うと、男の子の霊はこう言いました。

 「死って何?」

 たしかに、4歳の子どもに死を理解させることは簡単ではないでしょう。話をしていると、母親も一緒に亡くなったことがわかりました。そのため、「母親が寂しがっているよ」と言ったのですが、なかなか成仏しません。そこで、僧侶の奥様が男の子の霊が憑依したAの手を握って安心させたのです。そうしながら、奥様が「死」を丁寧に説明しました。すると、

 「わかった。ひとりで行けるよ」

 そう言うと、男の子の霊はいなくなったといいます。


 こうした話を聞いていると、そもそも、憑依した人物に語らせた内容が本当のことなのかどうか、知りたくなります。仮に本当だとして、今回の東日本大震災での出来事なのか、それとも、それ以前の津波の犠牲者なのかも、気になります。

 僧侶によると、この話を聞いた研究者は、「そうした事例が本当にあったのかを調べたい」と言ってきたといいます。しかし、僧侶は事実かどうかを調べることには同意しませんでした。「事実かどうかは関係ないのです。霊が、憑依した人物の口をかりて苦しみを訴えている。その苦しみと向かい合い、成仏させることが私の仕事なのです」と話していました。
(文=渋井哲也)

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