【指を壊死させて切断】究極の身体改造「アンピュテーション」に挑む女―インタビュー
「Twitterを始める時に考えた名前ですね。左手の指を切断するよりも前です。フランスの見世物小屋でグロテスクなショーをやっている“グランギニョール劇場”というところがあって、そこから付けました」ーーところで、グランギニョルという名前はいつから名乗っているんですか?
ーー左手の薬指を切断したのはいつ頃ですか?
「まだ2年はたっていないです」
ーーその前にも身体改造行為はしていたんですか?
「そうですね。タトゥー、インプラント、カッティング、あとスプリット・タンです。まず10代でピアスから入って、20代前半になってからタトゥーを彫り始めました」
10年以上かけて入れ続けているタトゥーは腕から胸、背中から尻までを覆っており、珍しいところでは、左手の水かきの部分にピアスもある。
「これは“ハンドウェブ”というものです。ここはピアスの定着率が悪くて断念する人が多いんですが、何回かやって綺麗に入りました」
ーーでは、いわゆる“身体改造”を始めたのはいつ頃ですか?
「ルーカス・スピラ(フランス人身体改造アーティスト)が来日するようになって、数年後ですね。おそらく2000年頃だと思います」
ーー日本で身体改造ができるようになってきた頃ですね。
「まず右腕にインプラントを入れました。これはテフロンを入れています。ルーカスがたくさん持ってきたものの中から、“なんか選びなさい”みたいな感じで入れました(笑)」
■舌を電気メスで真っ二つに
ーースプリット・タンはいつ頃ですか?
「わりと早くて、最終的にはルーカスにやってもらったんですが、その前に日本人のアーティストにやってもらって、うまくいかなかったんです」
ーーうまくいかないというと、どういうことですか?
「最初は電気メスで切ったんです。それで終わりだったので、家に帰って調子に乗って喋っていたら、奥に裂けちゃったんですよね。血がピュッと出てきて(笑)」
ーーうえええ……。
「そうしたら止まらなくなっちゃって、その時はずっと痛くて痛くて眠れず、痛み止めを飲んだんですけれど、全然効かなくて眠れない。それでもやっぱり“医者に行く”という考えはあまりなかったので、1週間以上はずっとそのまま暮らしていました。その間の同居人との会話は筆談でした。ご飯も食べられないからゼリーなどを食べていました」
ーーその後どうなったんですか?
「やっぱり人間の組織はくっついてくるので、舌の先がちょっと裂けているくらいになっていました。見た目にはあまりスプリット・タンらしくないというか。それから1年くらいして、またルーカスが来日したので、再度やってもらいました。彼の場合は、切った部分の根元を縫ってくれるので、それでめでたく完成しました」
――その時も術後の手入れは大変でしたか?
「その時はあまりしなくても大丈夫でしたね。抜糸は自分でしましたが。ただ、その時の影響か、その前の施術の影響かはわかりませんが、一部に痺れはずっと残っています。味覚がおかしいとか、そういうことはありませんが」
最近やった改造は、左頬の下のカッティング。一見すると、ただの擦り傷に見えなくもないが、これも身体改造である。
「これは最近、昨年9月くらいにやりました。でもカッティングはどうしても傷が塞がってきちゃうんですよね。治りにくくすることをいろいろと試してみたんですが……」
「傷が塞がらないようにする方法をネット上で調べたんですけど、出てくる情報は“傷を治すための情報”なんですよね。それで、私の場合は、カミソリで傷跡をなぞったり、乳児用歯ブラシで擦ったり、あとはエタノールなら傷が残るって聞いて、それを塗ったりしていました。他には、ワセリンってなんとなく傷が治るイメージだったんですけど、それを塗ると残るという話もあって。ありとあらゆることを試したんですが、このくらいまで治ってしまいました」 カッティングで最も難しいのは施術のアフターケア。傷を治そうとする人体との戦いなのだ。
身体改造にはスプリットタンの施術後に舌が奥まで裂けるような危険性を持ちながら、その一方で簡単に治癒してしまうようなカッティングの例もある。
それらの施術者は、現在ではそこまで珍しい存在ではないのだが、やはり身体改造とは不確定でリスクの高い行為なのである。
そしてグランギニョル嬢が挑んだ“アンピュテーション”は、前述の行為とは比べられないほど症例の少ない、日本ではほぼ無人の地をゆくような危険行為なのだ。
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