【指を壊死させて切断】究極の身体改造「アンピュテーション」に挑む女―インタビュー
■糸で指先を12時間以上、縛って壊死させる
彼女は、事故で指を壊死させてしまった人々の情報を集め始めたという。
つまり、“生きながら自らの体を壊死させる”ことによって、アンピュテーションを完成させる計画に入ったのである。
「壊死させるといえば、SM的な嗜好がある男性が、去勢をする時に睾丸を縛るという情報もあったんですね。ちなみに牛の去勢もそうらしいんですけど」
ーーとにかくいろいろな壊死の情報を集めたんですね。
「はい。それで“縛ったら壊死するんじゃないか”と思って、1度自分で指を縛ってみたら、本当に痛くて、もう気がどうにかなりそうなくらいなんです」
ーーそれはそうですよね。
「それでかなり前から何回もやっては失敗していたんです。寝てもとにかく痛くて。きっと“生命の危機”というものなんでしょうね、凄い痛みと恐怖心が出てくるんです」
ーー何回も挑戦をして失敗したと。
「はい。ただ、切りたいという願望には波があって、収まっている時には諦めていられるのですが、ある程度するとまたがーっとくる」
ーー性欲みたいなものですか?
「まあ、欲求という感じです(笑)。それで、昨年にまた波がきたので、やってみようと。そうしたら、その時は何かが降りてきたのか、耐えられたんですね」
ーーそれまでと、やり方は変えていないんですよね?
「そうですね、同じやり方でしたが、その時はなぜかできて。ネットに出ていた情報では“12時間で人間の感覚はなくなる”とあったので、なんとか12時間は頑張ろうと。それで、12時間経ったら、ホントに痛みがなくなりました」
ーー痛みがなくなるのですか?
「はい、おそらく神経が死んで痛みがなくなっているんでしょうね。ただ、手の指の時は12時間後に緩めたら、まだ死にきってなくて、血行が復活したんです。それがまた凄い激痛で……」
ーーうわぁ……。
「そこで、やむを得ず病院に行ったんですよね。壊死って凍傷と同じ状態なんですけれど、水疱ができたりいろんな過程があって、最終的に心臓から一番遠い場所から壊死していくんです。登山の人の場合は耳からなんですけど、手の場合は指先です。私の場合はこのあたり(薬指の根元or付け根)は痛かったので、医者と相談してここから切りました」
ーー全体が死んでいたわけじゃないが、先端が死んでいたから全体を切ってしまったと。
「医者としては、“切る部分を最小限で収めたい”と。きっと義指をつける時に根元があった方がいいからなんですね。そこで、初めて自分の中で“じゃあどこから切ったらいいんだろう?”と考えました。それで自分がどこから切ったら満足するかを考えて、“じゃあできるだけ多く”ということになりました。やっぱり事故で指がなくなった方の写真をいろいろ見ていましたし、痛かったので“悪いところを全部切ってもらった方がいいです”とお願いして、この形になりました」
■ポトっと指が腐り落ちる
まずは指を壊死させて、もう二度と戻らない状態になってから病院に行き、最後の切断は医師の手に任せる。それがグランギニョル嬢のアンピュテーションだ。
ーー壊死したら、人間の組織は復活はしないんですか?
「そうですね。ポロッと落ちるんです。今回やった足がそうなったんですけど、体から離れていくんですよ」
ーーえーっと、なにが?(笑)
「指が。それでポロッと落ちる」
ーー一体感がなくなっていくような感じですか?
「もうグラグラになっていく感じです。左手の指はそこまでいく前に切りましたが、指先はかなり死んでて、匂いもすごかったですね」
ーー12時間でそんなに匂いがするものなんですか?
「そうですね。腐り始めてきてました。でも、いろいろやったあとにわかったんですが、左手の切断は計画的には失敗だったんですね」
ーー完全に壊死していなかったからですよね。
「はい、やっぱり……誰も教えてくれないので。足の指はいろいろ調べたあとだったので最短時間で壊死に向かっていくことができたんですが、手の方はやっぱり、縛っている時間が短かったんですね」
文字通り自分の体を通して人体の腐らせ方を学んでいるグランギニョル嬢。
この経験が他の人間にとって有用なのかはまったくわからないが、30代女性の指を腐らせるためには、12時間では十分ではなかったということだ。
「だから外した時に痛みがあったんですね。水疱ができてたのも、いい水疱で、新しい皮膚に生まれ変わるという時にできる水疱だったんですね。結局は快方に向かってしまっていたんです。だから今回、足の指の切断の時は12時間が経過してから1日~2日縛ったままで放置していたんです。そうすると時間が十分だったのか、外した時にも痛みはなく、血行も戻らなかったです」
■敗血症という死のリスク
グランギニョル嬢の実験は、こうして成功を収めた。
ーー壊死している部分に接している、まだ生きている細胞はどうなるんですか?
「やはりダメージは受けますよね。私のやっているやり方で1番、人に勧められないのは、敗血症になる可能性が非常に高いところです」
ーー敗血症とは?
「事故でなる人が多い病気なんですが、血管に雑菌が入ると、血管を通って心臓にいくんですよ。そうすると体の中から侵されてしまう。死亡率が高いんですね」
簡単に語るグランギニョル嬢だが、“死ぬかもしれない”というリスクを常に負っているのだ。
「そうですね。ただ、私は意外に免疫力が高い方で、怪我をしてもすぐ治るんですよね」
ーー確かに頬のカッティングを見ても、ハンドウェブのピアスを見てもそうなのもしれないですね。
「でも、このやり方で医者にかからないで放置していたら、今頃どうなっていたかわからないし……。だから、もし私と同じことをしたいとしたら、何かで切ってしまった方が、もしかしたら安全かもしれないと思いますね」
ーー海外だと、ただ綺麗に切ってしまうと医者にくっつけられてしまうのでチェーンソーで断面を汚くするという話も聞いたことがあります。
ここで彼女は、もうひとりの実践者と出会っていたことを教えてくれた。
「過去に一回、実際にアンピュテーションをやった女の人と会ったことがあって、その人は私と同じ位置の指をチェーンソーでやったんですよ。高い枝を切るようなものでした。切断したらすぐに病院に行ったらしいですね」
ーー切り落とされた指は……。
「持っていかなかったそうです。そういう人に会ったことで、私のやりたい熱が上がったんですね。だから私も同じチェーンソーを買ったんですけど、実際に割り箸とかを切ってみたら、刃を当てた割り箸が砕け散るんですよ」
ーーチェーンソーなら切断のラインもグチャグチャでしょうからね。
「ギザギザになった割り箸の切断面を見ていたらすくんでしまい、その時は断念して、もう無理だと思って諦めました」
ーーそれがあったから、腐らせる方法を考えたんですね。
「はい。でもやっている時はこのやり方も半信半疑ですし、とりあえずその衝動でやってみたという感じですね」
(後編につづく)
後編はこちら(5月17日20時から配信)http://tocana.jp/2015/05/post_6416.html
(文・写真=福田光睦/Modern Freaks Inc. 代表)
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