【人体の不思議】血液を持たない赤ん坊 ― 極めて珍しい先天性疾患の謎

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 高齢出産が増えている現代では、奇形や何らかの疾患を抱えて生まれてくる赤ちゃんの数が増加傾向にあるという。これまでトカナでは、そのような先天性疾患の話題を数多くお届けしてきた。今回は、それらと比較しても耳を疑うような「血液を持たずに生まれた赤ちゃん」の話題をお届けしよう。

【人体の不思議】血液を持たない赤ん坊 ― 極めて珍しい先天性疾患の謎の画像1画像は「METRO」より引用

 2009年12月、血を持たない赤ちゃんことメイシーちゃんは、アイルランド南東部のウォーターフォード州で、予定日より6週間早く帝王切開で誕生した。しかし、医師たちはすぐに異変に気づく。なんと、彼女の血管を流れていたのは、血液の主成分である「血漿(けっしょう)」と呼ばれる黄色い液体に過ぎず、そこに赤血球を構成するヘモグロビンがまったく含まれていなかったのだ。

 ヘモグロビンは、全身に酸素を運ぶ役割を担う。つまり、メイシーちゃんの血管を流れる液体は、血液としての機能を果たすことがないというわけだ。これは、妊娠中に母体が胎児の血液成分を吸収してしまう極めて珍しい現象の結果であると考えられている。

【人体の不思議】血液を持たない赤ん坊 ― 極めて珍しい先天性疾患の謎の画像2画像は「METRO」より引用

 数日生き抜くことさえ難しいと思われたメイシーちゃんだが、医師たちは集中治療室で輸血を試みる。そして2週間で3単位の輸血を受けたメイシーちゃんは、何とか一命を取り留めた。母親のエマ・ヴィーニュさんは、「依然として脳に障害が残る恐れがある」と説明を受けていたが、幸いにもメイシーちゃんの脳に異常は見られなかった。昨年9月18日付の英紙「METRO」などによると、今や完全に健康な体を手に入れたメイシーちゃんは、学校でも優等生だという。

「生後15週目、彼女が初めて『だーだー』という言葉を発した時、安心とともに胸に込み上げてくるものがありました」
「(運が悪ければ)まったく異なる結果が待っていたかもしれません」(エマさん)

 母体が胎児の血液を吸い取ってしまったケースは、ほかにも存在する。2011年、英国エセックス州で生まれたオリビア・ノートンちゃんも“血を持たない”赤ちゃんだった。母親は、英紙「The Telegraph」の取材に「幽霊のように白い赤ちゃんだった」と当時のショックを語っている。2時間生きることも難しいとされたオリビアちゃんだが、輸血と医師たちの懸命な治療により奇跡的に命をつなぐことに成功した。

 このような異変が起こる理由について、現在も確かなことは判明していない。今回紹介したメイシーちゃんとオリビアちゃんは、幸運にも生き延びることができたが、世界には為す術なく誕生直後に亡くなってしまった子もいるのではないか。メカニズムの早期解明と、治療法の確立が待たれる。
(編集部)


参考:「METRO」、「The Independent」、「The Telegraph」、ほか

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