手書きの時代は終わった!! 「手書き文字ジェネレータ」を使ってわかる人工神経回路網(ANN)の凄さ!
PCやスマホを使って仕事や連絡をするのが当然の現代、手書きの文字を見ることはめっきり少なくなった。そんな時代だからこそ、手書きの手紙はメール等よりも大きな手間がかかることから、感情がこもった特別な連絡手段となりえている。
しかし、一見手書きだからといって特別な意味を持つのは今だけかもしれない。すでに海外では、脳神経回路を模したコンピュータが、“手書き”の文字を生成することに成功しているというのだ。そして、この驚異的な一報を聞き、実際にそのシステムを利用してみると……、なかなか味のある文字が生成されるのである。
■人工神経回路網(ANN)で手書き風の文字を生成
これは説明するよりも実際に試してもらうのが一番だろう、このサイトにアクセスすると簡単に手書き風の文字を生成することができる。
・まず「Text」欄に適当な英文(100字以内)を打ち込む。
・次に筆跡の特徴を「Style」の中から選ぶ。
・次に「Bias」のメーターで、文字の読みやすさを調整する、左に動かすとより崩れた文字になり、右に動かすと読みやすくなる。
・そして「Samples」欄で出力する回数を決め、「WRITE」を押せば、コンピュータが一生懸命拙い文字を書いてくれる。
お世辞にもきれいな字とは言いがたいが、その方が手書きの風味があるとも言える。長い文章を出力すると、板書が苦手な学校の先生のように斜めに書き上げられていくのも人間らしい。しかしそもそも、フォントを利用せずに手書き風の文章を出力できるだけでも素晴らしいことなのだ。
このシステムを開発し、論文サイト「arXiv(アーカイブ)」で発表したアレックス・グレイブズ氏は、「一連の出力内容は、本当の手書きと判別できないくらいよくできているでしょ」と自信満々に語る。5種類の見本筆跡の他にもランダムで筆跡を作れる点は、状況に応じて字の書き方を変える人間のように、筆跡の多様性を確保しながらリアルな字を作成できていると言えよう。コンピュータでありながら、実際の手書きと同様に、同じ文字を寸分違わずに書けないのは、脳神経回路を模した人工神経回路網(ANN)の賜物だ。
グレイブズ氏は今後ANNを使って手書き文字の生成だけではなく、声を生成することにも興味を持っているようだ。すでに私達の身近な所に文字の読み上げソフトは存在しているが、人間と同じように、同じセリフでも生成されるたびに微妙に違う声になるものを作りたいのだろう。ANNはそのような「あいまいさ」を生み出すのにはうってつけである。
ANNといえば、多くのネット住民を戦慄させた、Googleの「Deep Dream」が記憶に新しい。これもANNを使った画像認識システムによって生成された画像で、なんでもない風景画像が地獄絵図へと変化している。まだまだ発展途上であるANNは、今のところ私達の予想の斜め上を行く結果を見せてくれる。このまま研究が進んでいけば、人間と区別がつかないほどの読み書きをするコンピュータが登場する可能性も十分有り得そうだ。
(文=杉田彬)
参考:「Daily Mail」ほか
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