将来、人間は眠らなくても生きていけるように?注目されるスマートドラッグ、脳波コントロール、多相睡眠
最先端の科学技術を駆使して人間の知的・肉体的な能力の向上を目論むのがトランスヒューマニズムだ。バイオテクノロジーと再生医療による寿命の大幅な延長や、ロボット技術を利用した身体能力の向上、脳に端末を埋め込んで知識の増大・共有を図ることなど様々な構想が描かれており、現実に研究開発が進んでいる人工子宮もトランスヒューマニズムの考えのもとにあると言われている。そして今、トランスヒューマニストの関心を呼んでいるのが人間の“睡眠”であるという。
■眠りの質を高めれば睡眠時間を短縮できる!?
1日の平均睡眠時間は8時間だが、仮に人生が80年だとすれば起きている時間は53年ほどに過ぎない。臨終を前に眠って過ごした27年をもっと有意義に使えたのではないかと後悔するかどうかは当人の考え方次第だと思うが、トランスヒューマニストの一部にとってはこの27年が看過できないようである。
昨今の研究によって、睡眠中にも脳の一部は活発に動いており記憶や経験の“整理整頓”を行なっていることが明らかになり、また、アミロイドベーターなどの脳の老廃物は睡眠中にのみ処分されることも分かってきている。このことから睡眠時間は決して無駄な時間ではないことになるが、トランスヒューマニストたちは睡眠のクオリティを高めることによって睡眠時間を短縮できるはずだと考えているようだ。つまり1日8時間も睡眠に割くのはあまりにももったいないということだろう。
では、睡眠の質を高めて時間を短縮するには具体的にどうすればよいのか? その方法には3つのアプローチがあるという。それは機器、薬物、知恵(ライフハック)である。
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