カラスが“葬式”をする謎 ― 人の顔を1年以上記憶する驚異の頭脳と社会性が判明!

 人類が葬式を発明したのは、およそ6万年前のこと。しかし、これは必ずしも我々の専売特許とは限らないようだ。


■頭の切れる問題児

 明け方の路地に我が物顔でひしめき合い、ゴミを荒らし、ハトを蹴散らし……。恐ろしげな容姿もあいまって、都会の嫌われ者となってしまったカラスたち。だがその生態には、我々が目をむくほどの賢さと、高度な社会性が隠されている。

カラスが葬式をする謎 ― 人の顔を1年以上記憶する驚異の頭脳と社会性が判明!の画像2画像は「Wikipedia」より

 具体的なたとえのひとつに、“葬式”の習性があることが挙げられる。仲間の死に直面したとき、カラスたちは遺体を取り囲み、別れを悲しむかのようにふるまうのだ。

 今回アメリカの研究チームが、この不可解な習性にメスを入れたことで、巧みに危険を回避するカラスたちの知恵が浮き彫りとなった。


■マスクを被り、腕には死骸…一見ホラーな検証実験

カラスが葬式をする謎 ― 人の顔を1年以上記憶する驚異の頭脳と社会性が判明!の画像3画像は「IN Close」より

「カラスの葬儀行動は広く観察されており、世間の人々は頻繁にその出来事について尋ねるのですが、我々は何が起きているのか知らないままでした」と海外メディアの取材に答えたのは、米ワシントン大学のケイリー・スウィフトさん。同大学の研究チームは、数年にわたってカラスの葬式に焦点を当て、研究してきた。

 真相の解明のために利用されたのは、はく製のカラスと、薄気味の悪いラテックスのマスクだ。マスクをつけた人物がカラスの餌場へと足を運び、カラスの反応を観察する。マスクが必要だったのは、毎週異なったボランティアが実験に協力したためで、カラスが個人を特定できるようにするねらいがあった。

 実験では、

1、【死んだカラスを持った人】
2、【止まり木の鷹の近くに立つ人】
3、【止まり木の鷹の近くに立つ、死んだカラスを持った人】

 の3つの前提条件にしたがって検証が行われたが、これらの96%において、カラスは同じ反応を示したという。ちなみに鷹はカラスにとっての身近な天敵である。

「発見者(通常・縄張りの持ち主)が騒ぎ立てると、5匹~11匹のカラスを呼び寄せます。野次馬は10分から20分ほど周囲にとどまって騒ぎ立て、次第に静まってゆき、縄張りの主を残して解散します」(ケイリー・スウィフト氏)

 とりわけカラスたちは、【止まり木の鷹の近くに立つ、死んだカラスを持った人】を目撃したときに最も強い反応を見せた。

カラスの死体が見慣れた捕食者(人間、鷹)と共にあるとき、カラスたちは最も敏感になるのです」と、スウィフトさんは説明する。

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