現実になった「シュレーディンガーの猫」! やはりこの世界はふたつの現実が重なっていた!
実験では、ボース凝縮状態となった、10,000個のルビジウムからなる直径数ミリの原子の雲を、9メートルの高さがある円柱状の実験装置内で放物線を描くように打ち上げた。そして、原子の雲が装置の底についたときに、その状態(波動関数)を詳しく調べてみると、ひとつの原子の雲が異なった高さから落ちたといえるデータが得られた。
これは、打ち上げられた原子の雲は数秒間重ね合わせの状態であり、「2つの軌跡」を描いている可能性を示している。しかも、その2つの軌跡は54cmも離れており、肉眼でも容易に区別がつく規模であった。つまり、われわれが確認できる大きさのレベルで、2つの状態を重ね合わせた物質が実験装置内に、確かに存在していたのだ。
研究を行ったスタンフォード大学のマーク・カセヴィッチ博士は、「今回の研究結果は、日常生活の世界でも重ね合わせ現象が起きる可能性を示唆した」と話し、量子の性質を活かしたさまざまな技術の利用を期待した。
量子の世界で起こる現象といえば、重ね合わせの他にも瞬間移動する「量子テレポーテーション」や、古典力学を無視するように移動する「トンネル効果」などがあるが、どちらも現実世界で起きれば世界が変わる事柄だ。また、量子は時空を超えるという研究結果もあるため、タイムマシンの期待も膨らんでくる。
今ある常識を全て過去のものとする可能性を秘めた量子力学。人類の大きなターニングポイントはすぐそこまで迫っているのかもしれない。
(文=編集部)
参考リンク:「livescience」、「DailyMail」、ほか
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