現実になった「シュレーディンガーの猫」! やはりこの世界はふたつの現実が重なっていた!
2年連続でノーベル賞物理学賞者を輩出した日本、これまでにも素粒子物理学や量子力学の分野で6人の受賞者がいる。これらは、一般人にはなじみのないミクロな世界の学問だが、最新の研究によると、近いうちに身近なものになる可能性があるという。
先月23日、「Nature」に掲載された研究論文によると、ミクロの世界で起きている量子の「重ね合わせ」という状態が、われわれが認識できるレベルの大きさでも起きることが判明したようだ。
■量子の奇妙な性質「重ね合わせ」
量子の世界で起きる不思議な現象、「重ね合わせ」。これを説明するためにしばしば持ち出されるのが「シュレーディンガーの猫」という思考実験の話である。箱の中に50%の確率で毒ガスが出る装置とともに猫を入れた場合に、箱を開けるまでは猫の生死を確認することができないため、箱のなかで「生存」と「死亡」の状態が重なり合っている、と考えるものだ。量子は基本的に、この2つの状態、つまり重ね合わせという性質をもっている。
普通に考えれば理解ができないような不思議な量子の性質を、若干わかりやすく、かつ、ファンシーに教えてくれるシュレーディンガーの猫であるが、あくまでも思考実験であり、現実では重ね合わせの状態はありえない。猫は箱のなかで、生きているか死んでいるかのどちらかである。
しかし、今回の研究では、微細な量子の世界でしか起き得ないはずの重ね合わせの現象が、現実世界の大きさでも起きていたという驚くべき結果をもたらした。
■驚くべき実験結果
スタンフォード大学で行われた実験は、「ボース=アインシュタイン凝縮(以下、ボース凝縮)」という特殊な状態にある物質を利用して行った。
ボース凝縮とは、原子を構成する「ボース粒子」と呼ばれる素粒子が、絶対零度(-273.15℃)近くまで冷却されると起きる現象で、たくさんの素粒子が、まるで一つの素粒子になったかのように振る舞うという。ただ、凝縮といっても、もともと希薄な素粒子が凝縮されたものであるため、「原子の雲」といったような状態である。
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