45億年前の巨大衝突「ジャイアント・インパクト」はもっと大きな衝突だった?月の起源の秘密も…

 夜空に浮かぶ「月」は地球に衝突した原始惑星の破片でできている――。これは月の形成に関し最も可能性が高いとされている「ジャイアント・インパクト(巨大衝突)説」であるが、米・カリフォルニア大学の研究グループがこの説を裏付ける研究結果を発表したと英「Daily Mail」紙が報じている。今回発表された理説によると、このジャイアント・インパクトはこれまで考えられていたよりもはるかに大きな衝突が起きていたということだ。


■地球に衝突した惑星の破片で月ができた?

45億年前の巨大衝突「ジャイアント・インパクト」はもっと大きな衝突だった?月の起源の秘密も…の画像1画像は「GeoBeats News」より

「ジャイアント・インパクト説」とは、およそ45億年前、誕生後まだ1億年ほどであった地球と原始惑星「テイア(Theia)」が衝突し、飛び散った破片から月が誕生したという説だ。「テイア」の名はギリシア神話に登場する月の女神「セレネ」の母に由来しており、月の形成について最も有力視されている説である。

 これまでの研究でテイアは火星とほぼ同サイズであり、地球の側面を約45℃の角度でかすめるように衝突したと考えられていた。しかし、米・カリフォルニア大学の地質学者エドワード・ヤング博士の研究グループが、これまで考えられていた衝突よりも深く、しかも真正面から激突していた可能性が高いと発表した。彼らは「アポロ12号」「アポロ15号」「アポロ17号」が月から持ち帰ってきた7つの月岩石サンプルをハワイ諸島やアリゾナで発見された火山性岩石と比較、分析したところ、酸素同位体に違いが見られなかったと発表したのだ。


■地球と月の関係は?

 火星や木星など太陽系の惑星はほとんど異なる同位体を持っている。この同位体はその比率から惑星の由来などを知ることができる“いわば指紋のようなもの”ということだが、今回ヤング博士はこの分析結果について「区別できるほどの違いが見つけられない」と発表している。

 また博士は「地球と惑星テイアがこれまでの説通り浅い角度で衝突していたのならば、月の物質の多くはテイア由来となり今回分析された酸素同位体の比率は違ったものになったはずであった」とし、ジャイアント・インパクトで地球と惑星テイアは完全に融合し、均等に分散していったと結論付けたのだ。

 夜空に浮かぶ月が、衝突した惑星と地球の破片が融合してできたとはとても興味深い話である。ヤング博士は「地球と月岩石の同位体の比率が同じということは我々にとても多くのことを伝えている」と語っており、月の起源が判明する日は近いのかもしれないと期待せずにはいられない。
(文=遠野そら)

参考:「dailymail」、「Ancient Code」、「Science」ほか

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