海賊が謎の水晶「サンストーン」でアメリカ大陸を発見したという説は本当か?

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 また方解石のほかにもトルマリンや菫青石(きんせいせき、アイオライト)も類似の性質を持っている。ある方位の電場を吸収し、それに垂直な方位の電場を透過することにより直線偏光を作り出すことができるのだ。

vikingssunstones2.JPGバイキング船 画像は「Wikimedia Commons」より

■証明が難しい「サンストーン=羅針盤」説

vikingssunstones3.JPGバイキングの彫像 画像は「Wikipedia」より

 では本当にこれらの結晶はヴァイキングのサンストーンだったのだろうか? 最新の研究は「英国王立協会紀要」に発表されており、この問題に正面から切り込んでいる。ガボール・ホーバート氏らの研究チームは曇天時の太陽の位置を正確に検出できるかどうかをこの三種類(方解石、トルマリン、菫青石)の結晶で実験したのだ。実際にヴァイキングと同じルート、ノルウェーから南グリーンランドとニューファンドランド(カナダ北東部)をたどったのである。

 そしてどの結晶も晴天時には偏光の角度がくっきり見え、正確な太陽の位置を測ることができることを発見した。一方で、太陽が少し雲にかかっている状態ではやや偏光が弱まったもののきちんと見えており、トルマリンと菫青石の方が方解石よりも、より機能した。

 ただ、不純物を除いた全く混じり気のない純粋な方解石を使用した場合は、トルマリンと菫青石と同等の働きをしており、特に太陽光の偏光が少ない場合は一番優れた結果を示したのだ。

 太陽が雲に完全に隠れて空が厚い雲に覆われた状態、もしくは霧が出ている状態では、どの結晶でも失敗、太陽の位置の検出は不可能であるという結果になった。さらには、地理的に北を示すことができるかどうかの実験を行ったがこれも失敗に終わった。

 ヴァイキングがおそらく所有した不完全な結晶では曇天時には機能せず、したがって残念ながら現時点で「サンストーン=羅針盤」説はちょっと危ういものになってくるであろう。ただし、もし今後の研究でサンストーンが正確に北方向を示す方法が発見されれば、この説は再び有力になる可能性がある。

 ヴァイキングがサンストーンを航海術に使用したという、このロマン溢れる魅力的な理論が証明されるにはまだもう少し時間がかかりそうだ。
(文=Maria Rosa.S)

参考:「The Conversation」、「Proceedings of the Royal Society」ほか

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