元少年Aの本名特定に加担した元祖暴露メディアは産経新聞?文春・突撃取材以前の知られざる珍事

元少年Aの本名特定に加担した元祖暴露メディアは産経新聞?文春・突撃取材以前の知られざる珍事の画像1※イメージ画像:『少年A 公式HP』

「週刊文春」(文藝春秋)による“酒鬼薔薇聖斗”こと少年Aの直撃取材が話題だ。記事によれば、編集部は約250日にわたり取材を行い、名前を変え、東京都内に住む少年Aのもとを1月下旬に訪ねている。少年Aは最初「人違いではないか」と否定するも、最後には「命がけで来てんだろ?」と激高したという。記事では、電車に乗る現在の姿も目線入りで掲載されている。

 少年Aをめぐっては昨年6月に突如発売された手記『絶歌』(太田出版)も記憶に新しい。同書は20万部を超えるベストセラーとなり、本人のもとへ数千万円の印税が入ったと見られる。だが、被害者遺族の了承なく出版されたことや、本名や現在の素性を公開していない点に批判が集まった。さらに9月にはホームページ「存在の耐えられない透明さ」が突如として公開される。カタツムリと自己の姿をあわせたコラージュ写真などは「事件の反省がないのでは」と多くの批判を浴びた。

 これを受け、同月発売の「週刊ポスト」(小学館)誌上では、少年Aの顔写真と本名が掲載された。だが写真は1997年の事件発生時に『FOCUS』(新潮社)に掲載されたものと同じ、学校の集合写真であり、本名もすでにネット上で出回っているものだった。何より現在、少年A自身は苗字も名前も変えており、報道にどれだけの意義があったかは疑問符が付く。

 少年Aの現在については、2005年1月の医療少年の仮退院による社会復帰以降、一貫してメディアの注目を集めてきた。本名、現住所、職業などは誰もが気にかかるところだろう。1997年の事件発生時、逮捕された少年Aが14歳という未成年であったことから、本名や素性、審理過程とその後の矯正教育の情報は徹底して伏せられた。

 だが、当時、普及を始めたインターネット上には、現在に同じく本名、住所、電話番号などが掲載されていた。そんな少年Aの個人情報を期せずして『産経新聞』が暴露してしまったことはあまり知られていない。

 事件の顛末は、識者の論考を集めたムック本『神戸事件でわかったニッポン』(双葉社)において、フリーライターの井上岳則がまとめている。

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