“水晶”で音が劇的に変わる?オーディオのオカルトについてメーカー社長が“真実”を語った!
■謎多き“水晶入り”ケーブル
「うちのケーブル、水晶を使っているんですが、音が全然違うんですよ!」
ある日、筆者のもとに驚くべき一報がもたらされた。代官山にあるライブハウス「晴れたら空に豆まいて」のディレクターがこう言い張っているというのである。
確かに、「晴れたら空に豆まいて」の音響が驚くほどいいことは以前から知っていた。天井が低く、ライブハウスとして決して好条件とはいえないのだが、反響音もなく、音が割れることもない。とにかくサウンドがクリアなのだ。それは音響スタッフの努力の結晶だと思っていたが、電源ケーブルに水晶? だからなんだという話である。
筆者の仕事はサイエンスライターで、都市伝説バスターでもある。腐っても、いや腐り果てているけれども、物理屋の端くれだ。石で音が変わるもんか!
「そう言われると思って、開発された会社の社長をお呼びしました。ぜひお話してみて下さい」(ディレクター)
そんなこんなで、「晴れたら空に豆まいて」で関口機械販売株式会社の石黒謙社長に話を伺うことになったのだ。
■水晶は“最後のひとさじ”
「これが『晴れたら空に豆まいて』で使われているケーブルです」(石黒社長)
問題のケーブルだが、普通のものと比べてかなり太い。しかし、見かけはただのケーブルだ。
「このケーブルには銅線が2本入っていて、コネクタにネジ止めされているんですが、そのネジ止め部分に、2つの水晶のリングがはまっています」
(石黒社長)
社長によると、水晶リングはあくまでも調理でいうところの“最後のひとさじ”で、そもそもケーブルの精度が桁違いに良くできているらしい。銅線には純度が高く結晶構造に方向性を持たせた特殊な銅を使い、被覆の絶縁体には比誘電率(電気の帯びやすさ)が低いことで知られるシルクを巻き、さらに樹脂のなかでもっとも比誘電率が低いテフロンでコーティングしている。これだけでも、市販のケーブルとしては最高品質と言っていい。
電気的科学的理論に基づき、もっとも良い材料を使って作れば、良い音が出ることは間違いないだろう。だが、これだけでは、水晶を使っている理由について納得することはできない。
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