“水晶”で音が劇的に変わる?オーディオのオカルトについてメーカー社長が“真実”を語った!
■音の振動を可聴域の外へ逃がす水晶
共振する周波数を変えるためには、ほかの機材に伝わってしまった振動を、そこに貼りつけた物質の振動に変換することで減少させればよい。しかし、アルミを貼ればアルミの音、陶器を貼れば陶器の音、鉄を貼れば鉄の音がして、結局はノイズになってしまう。ところが、水晶だけは事情が異なるというのだ。
「水晶の周波数は60kHzと言われています。人間の耳で聞こえる音は20~20kHzなので、水晶の音は聞こえないんです。音色に影響を与えることなく共振を逃がすことができます」(石黒社長)
水晶が発する共振の音は、人間の可聴域を超えているために聞こえない、だから水晶を使ったということらしい。
「陶器や金属などいろいろ試して、これはいいなというのを群馬大学工学部に持ち込んで振動解析したんです。すると、振動の減衰が早い。キレイなカーブで減衰する。そうしてあらゆる素材を使った中で、最終的に木材のヒッコリーや天然水晶が残ったんです」(石黒社長)
私は音響に関して無学だが、確かに筋は通っている。インシュレーターに水晶を使う理由はわかった。しかし、まだまだ食い下がらなければならない。そう、電源ケーブルは共振と関係ないはずだ。なぜそこにも水晶を使っているのか? そこで石黒社長から返ってきた答えは、筆者の想像をはるかに超えたものだった。
※怒涛の後編へ続く!
(取材・文=川口友万/サイエンスライター/「サイエンスニュース」編集長/著書『大人の怪しい実験室』)
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