3%の人間だけがもつ「虹色のビジョン」 ― 1億色を認識する「テトラクロマット」の目に映る世界が美しすぎる!
現在、50代のコンチェッタさんだが、アメリカで一般的に実施されている色覚テストでは、色弱にしか対応していないため、かなり成長してからテトラクロマットであることがわかることも少なくないようだ。
その後、ワシントン州立大学医学部の視覚研究の第一人者、ジェイ・ナイツ博士による研究の結果、彼女はテトラクロマットであることが判明し、長年の自分を取り巻く数々のミステリーも解けたようだ。コンチェッタさんの目を通すと、枝に実ったトマトの中で“どれが1番熟しているか”微小な色の差異も一目でわかるという。なかなか羨ましい才能だ。
■「神から与えられたギフト」
「自然を眺めているとき、太陽や月光が当たって明るくなっている部分は色が増幅されるみたい。私の目に映るものは、決して1色だけということはなくて複数の色が見えてしまうんです、まるでモザイクみたいにね」(コンチェッタさん)
彼女にはサンディエゴの薄暗い夜空もサファイア・ブルーの美しい夜景となり、道端の小石さえ万華鏡を覗きこむように光り輝くと話す。ただ、スーパーマーケットの食品売り場は苦手だという。あまりに多くの色に圧倒されてしまうらしい。
彼女のホームページには独自の世界を描いた作品が紹介されており、どれも美しい色彩に溢れている。「強烈な色たちが常に私に話しかけてくるんです。だから、それらを描くのが待ちきれないの」と、コンチェッタさんは米「ABC」のインタビューに語っている。そして、この自分の特徴を「(神から与えられた)ギフト」と呼んでいるそうだ。
テトラクロマット・アーティストと呼べるのは、今のところコンチェッタさんだけだが、現在、カリフォルニア大学アーバイン校ではキンバリー・ジェームソン博士が率いる、テトラクロマットに特化したプロジェクトが静かに進行中だという。最新の画像処理フィルターを利用して、潜在的なテトラクロマットたちのユニークな才能を伸ばすための研究だそうだが、うまくいけば今後は訓練次第でコンチェッタさんのようなスーパーヒューマンが増えてくるのかもしれない。楽しみのような、末恐ろしいような……。
(文=佐藤Kay)
●コンチェッタ・アンティコさんのホームページ「http://concettaantico.com/」
参考:「Discovery News」、「BBC」「http://concettaantico.com/」、ほか
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