インドの大学で「ゴリラと人間のハイブリッド」誕生か? 理学博士が解説!
果たして、X氏の疑念は当然であった。調査の結果、この記事はフェイクであることがわかった。まず、インド科学大学(The Indian University of Science)というは存在しない。そして、ヒュリラとされる画像は2005年にアメリカ・フロリダ州の動物園で生まれた正真正銘のゴリラの赤ちゃんのものであることが発覚した。
さて今回の記事は誤報であったのだが、実際に人間とゴリラの間に子供ができる可能性はあるのだろうか? せっかくなのでX氏に尋ねてみた。
■チンパンジーと人間のハイブリッドならば可能?
「まず無理でしょうね。ゴリラとヒトでは系統的に遠すぎます。現存する動物の中でヒトに一番近いのはチンパンジーです。それでも遠いし、実際にハイブリッドが生まれたという話は聞いたことがありませんが、可能性としてはゴリラより上でしょう」
ラバ(馬とロバのハイブリッド)など、種間に雑種が生まれる組み合わせはいくつか知られているが、いずれも属レベルでは同一である組み合わせだ。ゴリラはヒト科ゴリラ属、チンパンジーはチンパンジー属、そして人間はヒト属である。
「ヒト属は現在、我々ホモサピエンスのみですが、かつて存在したネアンデルタール人(ホモネアンデルターレンシス)などとは交雑していたと考えられています。最近のゲノム研究によると、私たちアジア人のゲノムにはネアンデルタール人の痕跡がとりわけ強く残っているそうですよ」
かつては人間も絶滅した他の類人猿と交雑をしていたらしい。X氏曰く、このような交配は進化の原動力にもなりうるという。
「世界中にヒトの女性をさらって子供を産ませる猿の化け物の話が残っています。また、祖先が猿だったという伝承も各地に残っており、ヒマラヤのイエティにもそういう伝説があるそうです。かつて近縁の類人猿と交雑してきた名残りなのかもしれません」
人間と猿、その関係は私たちが思うよりも、もしかしたらずっと深いのかもしれない。
(吉井いつき)
※参考「disclose.tv」「seaworld.org」
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