聖書に登場する巨人兵「ペリシテ人」の遺骨が大量出土! 150体が眠る墓地の発掘調査が公開される
イスラエル南部、地中海沿岸の都市、アシュケロンで現在史上初となるペリシテ人の墓地の発掘調査が行われていると、7月11日に掲載された「DailyMail」や「フランス通信社」をはじめとする複数のメディアが報じている――。
■謎の“海の民”ペリシテ人の墓地が発見される
旧約聖書にも登場するペリシテ人だが、彼らのルーツや文化の多くは謎に包まれている。
紀元前12世紀頃より地中海に来襲した海の民と呼ばれる諸集団の人々の一部であり、古代イスラエルの主要な敵として知られているが、今回の調査で葬送慣習の詳細からひいては生活の様子についても手がかりが得られるのではないかと関係者の間で期待が広がっている。
発見された墓地の規模は大きく、遺骸は数多くの小部屋に埋められており、およそ150体が見つかったという。調査チームは今後、人骨の一部をDNA解析に回しペリシテ人の起源に迫りたいとしている。
実は現在のヨーロッパ諸語では、ペリシテ人は「芸術や文学などに関心のない無趣味な人」の比喩に使用されるほど侮蔑的なイメージが浸透している。しかし1985年からアシュケロンで発掘を行っているレオン・ レビー調査隊を率いる考古学者のローレンス・ステージア氏は「ペリシテ人は実は教養も高く、洗練されていたのではないか」と語る。
墓では同時に宝石や香油も発見された。遺骸の中には装飾が施されたネックレスや腕輪、イヤリングを身につけていた者、そして武器を持った者もいたという。足元に置かれたカメにはワインや食べ物が入れられていたケースもある。火葬跡も見つかったが、これは当時では非常に珍しく、手間と費用をいとわない葬送文化を持っていたことになる。ほかには大きめの水差しの中に入った乳幼児の骨もあったようだ。
「東地中海エリアのさまざまな文化を取り入れた痕跡が見られ、非常に高度、かつ多様性に富んでいるといえます」(ローレンス・ステージア氏)
これは当時のイスラエル人の生活スタイルと対照的なものだという。ステージア氏はさらに調査が進めば、ペリシテ人の長年の不名誉な汚名を晴らすことができるかもしれない、としている。
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