最初に撮ったダクト
■「写ルンです」を手に、都市洞穴にダイブし続ける男
――ダクト清掃の仕事はどのくらい続けているんですか? 『DUST FOCUS』の撮影期間は?
木原 最初に入ったのは十代後半の学生の頃だから20年前くらい。展示の写真は2004年から2012年くらいの8年間で撮ったものです。でも、間に出たり入ったりしているし、記録しているわけじゃないので、明確にはわからないですね。
――使い捨てカメラの「写ルンです」で撮ったそうですね。これまで何台くらい使いましたか?
木原 家にあるフィルムが百数十本ぶんだから、そんなに多くはないですよ。居酒屋で友達と呑んでる所とか関係ない写真も混じってるから、ダクトの写真は2、3 ,000カットでしょうか。
――最初に撮ったダクトを覚えていますか?
木原 蛇の腹みたいな弧を描いている、定期で清掃している比較的綺麗な厨房のダクト。当時好きだった女の子にその写真を見せたら「木原君、そんな生活続けてたら身も心もホコリだらけになっちゃうよ」って言われたの、覚えてるんですよ。
――ショックですね。
木原 いや全然。ありがたいアドバイスだと思いつつ、そんな言葉で変わるほど僕はまともな人間じゃないって感じで。