死体の冷凍保存、怪僧ラスプーチンのイチモツ、ロシアのタトゥー…世界の“クレイジー”を巡り尽くした男にインタビュー!

■宇宙移住計画、死体の冷凍保存から精子バンクは生まれた

死体の冷凍保存、怪僧ラスプーチンのイチモツ、ロシアのタトゥー…世界のクレイジーを巡り尽くした男にインタビュー!の画像4医者の死亡宣告後、二時間以内に遺体を凍りに浸して体温を低下させる。専用の容器でセンターに運ぶ『クレイジートリップ』より

――20年間の集大成なんですね。全部は紹介できませんが、それぞれの裏話を伺いたいです。一番古い記事はどれですか?

前田 97年に取材したアルコー延命財団ですね。“死体の冷凍保存”の話なんですが、実は民間宇宙開発のスペースコロニー(宇宙移住)計画が原点なんです。これは、元々お金持ちのヒッピー世代のユートピア、理想主義として考えられていました。でも生きている間にそれは間に合わないかもしれない……。それを本当にやろうとしていたというのが、まさに70年代のカウンターカルチャーのぶっ飛んでいるところですね。今だと「そんなことできるの?」とまず疑ってかかってしまいますが、あの時代、人類はますますスゴいことになるという理想主義的な世界観がありました。

死体の冷凍保存、怪僧ラスプーチンのイチモツ、ロシアのタトゥー…世界のクレイジーを巡り尽くした男にインタビュー!の画像5冷凍保存の最終段階。液体窒素でマイナス190度にした状態で「デュワー」というケースに入れる『クレイジートリップ』より

――ヒッピーたちの夢だったんですね。

前田 でも、アルコーの冷凍保存の技術から精子バンクが生まれました。人間そのものの冷凍&蘇生はまだ難しいですけど、精子や卵子は冷凍保存できる。もうひとつは、まだ実現していないませんがナノテクノロジーです。分子単位のロボットを作って、それで病気を治療したりするというアイデアですね。その技術が完成すれば、冷蔵した人体を蘇生することも可能だろうといわれています。国がやるのではなく、カウンターカルチャーから出てきた人たちが、ユートピア思想の実践として、実際に素晴らしいアイデアやテクノロジーを生み出しているのが興味深い。


――アルコーは財団として運営されているですね。

前田 そうですが、理想主義の挫折というか、アルコーの内部リークがあって、72年創立以来の長い歴史の中で、それなりに腐ったりもしているんです(笑)。LSD教祖として有名なティモシー・リアリーも最後、ギリギリになって自分を冷凍しませんでした。自分の死後にDNAが他人に悪用される可能性を考えたからといわれています。

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