タトゥー、大麻、頭蓋骨に穴を開ける身体改造などを追う危険な旅/ケロッピー前田インタビュー
身体改造ジャーナリストとして『オキュパイ・スクール』を主宰し、ライターとしてオカルト、ハッカー、現代アートなどもレポートするケロッピー前田氏が『CRAZY TRIP 今を生き抜くための“最果て”世界の旅』(三才ブックス)を上梓した。
この本は、5つの旅を内包している。
1、ロシアタトゥー事情を含むロシアントリップ
2、マリファナ合法最前線などのハイトリップ
3、頭蓋骨に穴を開けるトレパーネーションを頂としたボディーズトリップ
4、アート、ハッカーの現場を見るフューチャートリップ
5、北海道縄文の旅、カナダ先住民ハイダ族のタトゥーを辿るルーツトリップ
本人が「過去20年間の取材の集大成」と語るだけあり、分野は多岐にわたり、情報量が桁違いに多い。今回は本人に「カルチャーが生まれる現場に立ち会う」旅の裏話を聞いた。
【前編:死体の冷凍保存、怪僧ラスプーチンのイチモツ、ロシアのタトゥー】
■トーテムポールは表札だった!! カナダ先住民を訪ねる旅も難易度が高い
――これまでの旅の中で、取材に苦労した国はありますか?
前田 カナダ北西部に住むハイダ族のタトゥー取材ですね。ハイダ・グワイ(クイーン・シャーロット島)に行きました。ハイダ族の人たちは元々アジア人で、約1万8000年前にベーリング海峡が陸続きになっていたときにアメリカ大陸に渡って行きました。彼らが大陸にたどりついて初めてカルチャーを作ったのがハイダ・グワイという島だといわれています。トーテムポールやカヌーの発祥の地でもあります。自分の大事なモノを壊したり、みんなにあげたりして富の再分配をする“ポトラッチ”という儀式もあります。バンクーバーに友だちがいたので、ハイダ・グワイの情報を得ていたので、現地に行けば先住民地区に入れることがわかっていました。実際には、僕の行ったエリアには宿泊場所が2カ所、移動は乗り合いのマイクロバスか、それに乗り遅れたらヒッチハイクか徒歩。しかも、昔、村があったエリアは海岸線で陸から行けないので、船をチャーターするかヘリコプター、なかなか大変な場所でした。
――ハイダ族はどんな暮らしをしているんですか。
前田 現代のハイダ族は、日常的には僕らとあまりかわりません。ただ島に住む彼らの中には、トーテムポールを作る「カーバー」になっている人もいて、世界中の博物館からオーダーがあるそうです。トーテムポールって10メートルぐらいあって、それぞれの大きなログハウスの一番大きな柱となっているんです。船で行くとよくわかりますが、あれぐらいの高さじゃないと海からは目印にならないんですね。トーテムはその家系の動物を示すもので、同じトーテム同士での結婚を避けることで血が濃くなるのを防いでいます。そして、代々のトーテムを積み上げて、ポールにすることで表札代わりになっているんですよね。
――トーテムポールにはそんな意味があったんですね。
前田 19世紀にハイダ族は西洋人が持ち込んだ伝染病で9割が死に絶え、文化消滅の危機に瀕しました。第二次大戦後の1950年代、ハイダ文化復興の要となったのが、トーテムポールの再建でした。それは世界的にも求められたものでもありました。一方で、ハイダ族のタトゥーはいまだ復興の途上で、現地にはハイダ族のタトゥーを彫れる人はいませんでした。それに比べると、フィリピンを含む太平洋諸島(ポリネシア)の人々は、民族タトゥーがポリネシア文化復興の要となったことから、ゼロ年代以降、大いに盛り上がっています。
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2024.10.02 20:00心霊タトゥー、大麻、頭蓋骨に穴を開ける身体改造などを追う危険な旅/ケロッピー前田インタビューのページです。身体改造、大麻、松本祐貴、ケロッピー前田などの最新ニュースは好奇心を刺激するオカルトニュースメディア、TOCANAで