バチカンには聖職者が極秘開発した“過去を見る”デバイス「クロノバイザー」がある?

 世界最小の独立国でありカトリック教会の総本山であるバチカン市国――。この地にはいくつもの秘密が隠されているという。そのひとつが過去の出来事を自由に見ることができる“タイムマシン”の存在だ。

バチカンには聖職者が極秘開発した過去を見るデバイス「クロノバイザー」がある?の画像1バチカン市国 画像は「Wikipedia」より

■バチカンが秘匿する「クロノバイザー」とは?

 アメリカのSF作家、T・H・シャーレッドの『E for Effort』(1947年)は、コアなSFファンでもなかなか知らない名作だが、何度か邦訳もされており、『タイムカメラの秘密』(国土社)と題して単行本になり、『努力』という邦題で雑誌掲載もされている。多少ネタバレになってしまうが、話には過去に起こったすべての出来事を映像で映し出す「タイムビューワー」が登場し、この不思議なデバイスをめぐってFBIやKGBまでもが入り乱れて争奪戦を繰り広げるSFサスペンスだ。

 SF小説に登場した「タイムビューワー」だが、実は夢物語でもなんでもなく、バチカンの地に秘匿されているというまことしやかな噂がある。呼び名は異なり、その名も「クロノバイザー」だ。

 クロノバイザーは1950年代に、博学の聖職者でありエクソシスト(悪魔祓い師)であるペッレグリーノ・エルネッティ(1925-1994)が主宰する科学者集団によって開発されたといわれている。機器本体を写した写真などは残されていないというが、超常現象ジャーナリストのジョン・チャンバーズ氏によれば、クロノバイザーは確実にバチカンに存在し、過去を“見る”性能を現在もまだ有しているということだ。この事実を知られないために、バチカンは細心の注意を払って外部には一切情報を漏らさないよう代々箝口令が敷かれているという。特に邪悪な意図を持つ諸勢力の手に渡ることを最も警戒しているらしい。

 そもそもクロノバイザーは開発の段階から極秘のデバイズだったのだが、2002年にフランソワ・ブリュヌ神父(1931-)が出版した著書『Le nouveau mystere du Vatican(The Vatican’s New Mystery)』で初めて解説され、その存在が知られることになった。機器の形状としては家具のキャビネットのような外観と大きさで、音声を発するスピーカーと、ブラウン管(CRT)モニターが装備され、各種のボタンやレバーが配置されていたということだ。

 ブリュヌ神父は、同じ聖職者としてエルネッティと親交があり、このクロノバイザーを使ってエルネッティは「キリストの受難」や、共和政ローマ時代の作家で戯曲家のクイントゥス・エンニウスが手掛けたものの断片しかスクリプトが残っていない幻の戯曲『ティエステス』の劇場上演を“目撃”した話を聞かされたということだ。

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