【インタビュー】KKKから読み解ける現代の謎! なぜトランプは選ばれた? なぜ世界は右傾化へ?

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――これまで第1期と第2期のクランの活動についてうかがってきました。クランはその後、第二次世界大戦の後でまた再結成されますよね。これを第3期と呼んでいますが、どのような活動を行っていたのでしょうか。

浜本隆三専任講師(以下、浜本氏) 第3期のクランは、第1期や2期ほどの盛り上がりはみませんでした。会員数は多く見積もっても3万人ほどです。しかし、黒人の教会を狙った爆弾テロ活動を展開したり、女性や幼い子どもたちの犠牲者を出すなど、活動は凶暴化していました。この時期のクランの活動が、現在、われわれが抱いている白装束集団クランのイメージになっていると思います。

 この頃、アメリカでは黒人やマイノリティへの差別の解消と、政治参加をめぐって公民権運動が盛り上がりをみせていました。第3期クランはこれに抵抗していたんです。このあと、クランを名乗る小さな結社が各地に誕生し、その活動は現在まで続いているのですが、大規模な全国組織としてのクランは80年代には消滅します。

――クランとは、一概に黒人排斥活動を行っていた団体、というわけではなく、社会情勢や社会的変化を踏まえて、さまざまな変遷を経てきた歴史のある団体だったんですね。ところで、昨年の大統領選挙でドナルド・トランプ氏が口にした数々の発言を聞いていると、人種差別的な内容が気になりました。トランプ氏は、第3期クランと関係があると報じるメディアもあるようですが、実際のところはどうでしょうか?

浜本氏 昨年の2月、「クー・クラックス・クランの騎士団」の元代表であるデーヴィッド・デュークがトランプ支持を表明したことで、アメリカ中のメディアがクランとトランプの関係に注目しました。さらに、トランプ氏の父親が、1927年にニューヨーク州でクランの活動中に逮捕された、という記録が発見された、と報じるメディアもありました。トランプ氏は父親とクランとの関係を否定していますが、真偽のほどは明らかになっていません。

 また、トランプ氏とクランの関係については、しばしば白人至上主義という共通点で語られることがあります。ただ、これは表面的な理解ではないか、と私は考えています。両者の共通点は、もっと深い点に、すなわち、ポピュリズムや反知性主義といった、政治的・宗教的、そして社会的関係から総合的に考えてみる必要があると思います。

――本書でも指摘されていますが、第2期のクランが活動していた当時は新移民が増え、産業構造が変化し始めていました。アメリカの現状に目をむけてみると、白人の人口比率が下がり、さらに一部では従来の産業の行き詰まりや、移民労働者の問題などが話題となり、第2期クランの時期と社会的な状況が似ているような気もしますが……。

浜本氏 確かにアメリカでは、ヒスパニックと呼ばれるラテン系、メキシコ系の移民が大量に入ってきて、白人労働者の仕事を奪っているといわれています。ただ、この状況は今に始まったことではありません。2000年頃には、すでに大きな問題となっていました。他方で、白人の中でも、従来の分厚い中間層が消えて、貧富の差が開き、二極化が進展していることも深刻になっていますね。

 社会の極端な二極化と貧困の深刻化、さらにグローバル化やグローバル企業による国境を超えた経済活動が進展し、もはやどのような因果で個人の人生が左右されているのか、すっかり見えなくなってしまっています。政府や国家も頼りにならず、さらに不透明な議会運営や、政治と企業との癒着も個人の閉塞感を高めているはずです。このような諸々の鬱憤が、トランプ支持というかたちで噴出しているのではないか、と考えられていますね。

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