“次のパンデミック”候補は麻疹型ウイルス!? 専門家が作成した「人類に感染するRNAウイルス」カタログ

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 新型コロナの記憶がまだ生々しく残るなか、科学者たちはすでに「次」を見据えている。人類に感染しうるウイルスを片っ端から洗い出し、どれが世界的な大流行の引き金を引く恐れが最も高いのか——その順位付けを試みた前例のないカタログが公開された。

 リストの上位に並ぶのは、鳥インフルエンザやSARS型のコロナウイルス。そして専門家が最も警戒するのは、意外にも麻疹(はしか)に近い新型ウイルスだという。うまく人間に飛び移れば、その被害は新型コロナをはるかに上回りかねないというのだ。

「疾病X」を先回りする——239種のウイルス台帳

 このカタログを主導したのは、英エディンバラ大学で感染症疫学を専門とするマーク・ウールハウス教授だ。医師が患者から未知のウイルスを見つけたとき、それがエイズや新型コロナ級の緊急事態に発展するか否かを、その場でどう見極めればいいのか——教授はそんな難問を提起する。

 近年のパンデミックの「主犯」は、DNAではなくRNAを遺伝情報として持つウイルスに偏っているという。RNAウイルスは数千種、実際には数百万種存在する可能性もあるが、人間に感染するのはわずか239種。今回のカタログは、この限られた顔ぶれから特に危険な株を絞り込む手がかりになる。

 このデータは、専門家がしばしば「疾病X(Disease X)」と呼ぶ次のパンデミックウイルスがどのような姿をしているかの予測にも役立つという。各国の政府や保健機関が、限られた監視の目をどこに向けるべきかを判断する羅針盤になりうるわけだ。

「最凶候補」は麻疹型——感染率90%という桁違いの伝播力

 教授が特に名指しで警戒するのが、鳥インフルエンザだ。野鳥の間で進化を続けながら家禽や哺乳類、人間へと感染の輪を広げている点が危険視される。宿主を渡り歩くほど、ウイルスにはヒトの体に適応する「練習」の機会が増えるからだ。

 現時点で鳥インフルのヒトからヒトへの感染は極めてまれで、近しい家族間などに限られる。一見安心材料に思えるが、ウイルスの進化は速く、動物由来のウイルスがヒト間で広がる能力を新たに獲得しかねない——だからこそ警戒が必要なのだと教授は指摘する。

 そして「新型コロナよりはるかに深刻な世界規模の緊急事態を招きかねない」と警告するのが、麻疹に近い新型ウイルスだ。麻疹はもともと知られている中で最も感染力の強い病気のひとつで、感染者の周囲にいる無防備な人の最大9割が感染するとされる。

 患者の約3分の1は下痢や脱水などの合併症を発症し、子どもは20人に1人が肺炎を併発する。豊かな国でも1000人に1〜3人が死亡し、医療が脆弱な地域では致死率はさらに跳ね上がる。これほどの伝播力を持つウイルスが人間に飛び込めば、その破壊力は計り知れない。

致死率90%でも「大流行しにくい」ウイルスの逆説

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NIAID – https://www.flickr.com/photos/niaid/43112803134, CC 表示 2.0, リンクによる

 一方で、致死率だけを見ればさらに恐ろしいウイルスも監視対象に並ぶ。コウモリから人へ、時に人から人へと感染するニパウイルスは、発熱や呼吸障害、脳の腫れを引き起こし、感染者の4〜7割超が命を落とす。エボラやマールブルグに至っては激しい出血熱を伴い、致死率はエボラで約25〜90%、マールブルグで24〜88%に及ぶ。

 ところが教授によれば、これらの「最恐」ウイルスは、パンデミックの引き金としてはむしろ可能性が低い。感染者が急激に重症化するため、発見・隔離しやすいからだ。

 クルーズ船での集団感染で話題となったアンデス型ハンタウイルスも、潜伏期間が長く症状が出ている時に最も広がりやすい性質から、大流行の「素質」は持たないと分析されている。

 むしろ真に警戒すべきは、症状が深刻になる前にひそかに広がるウイルスだ。インフルエンザやコロナウイルスがこれにあたる。新型コロナは、コロナウイルスが驚くほど短期間で効率的なヒト感染能力を獲得しうると見せつけた。野生動物から新たなSARS型コロナが飛び出す——それは絵空事ではない現実的なシナリオだと教授は見ている。

 新しいウイルスをより速く見つけ理解することは、次のパンデミックから「先手」を奪い、最終的な被害を大きく左右するはずだと教授は結論づけている。

 カタログが警告する239の顔ぶれのうち、次に牙をむくのはどれか。その答えは、世界のどこかの診察室で静かに芽を出し始めているのかもしれない。

参考:Daily Mail、ほか

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