太陽系外縁を漂う「見えない惑星」の接近飛行が地球の“大量絶滅”を引き起こしていた!?

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 地球の歴史には、生命の大半が一気に姿を消した「大量絶滅」が幾度となく刻まれている。

 隕石衝突や大規模な火山活動が原因とされてきたが、そのどれもが単独では説明しきれない謎を抱えたままだった。

 2025年6月、イタリア・パレルモの国際会議で、ローマ大学およびナポリのカポディモンテ天文台の研究教授ダニエレ・ファルジオン博士が大胆な仮説を発表した。

 太陽系の外縁を漂う「見えない惑星」規模の天体が数千万年おきに地球へ接近飛行し、その重力が大量絶滅の引き金になってきたのではないかというのだ。

カイパーベルトから来る「招かれざる客」

 ファルジオン博士が仮説の舞台に選んだのは、海王星よりさらに外側に広がるカイパーベルト領域だ。

 この領域には矮惑星規模の天体が無数に漂っているとされる。何らかの重力的摂動で軌道が乱された天体が、太陽系の内側へ引き寄せられることがあるという。

 そうした天体が地球のそばを通過する際、強大な潮汐力が働く。巨大津波、火山活動の激化、海面変動、隕石群の集中、気候変動——複数の災害が連鎖的に引き起こされる可能性があるとファルジオンは説明している。

 単一の原因では説明できなかった大量絶滅は、実は「複合災害」だったのではという発想だ。

イリジウムなき絶滅と、狂った地球の自転周期

 仮説を後押しする材料が、2億5100万年前のペルム紀・三畳紀境界の大量絶滅だ。

 恐竜時代の終わりを告げた隕石衝突では、地層からイリジウムという希少元素の異常濃集や巨大クレーターが確認されている。ところがペルム紀末の絶滅では、そうした痕跡がいまだ見つかっていない。従来の隕石衝突説だけでは説明が難しい事案として、長年研究者を悩ませてきた。

 さらに注目すべきは、デボン紀末の化石サンゴの年輪だ。年輪の間隔からは、当時の地球の自転周期が急激に変化し、月と地球の距離が突然広がった形跡が読み取れるという。

 ファルジオン博士は、この異常が近くを通過した惑星規模の天体、あるいはその衛星の潮汐力によって引き起こされた可能性を指摘している。

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横倒しの天王星と、捕らわれた衛星トリトン

 ファルジオン博士が仮説の傍証として挙げるのが、太陽系にすでに残されている「異常」の数々だ。

 天王星は自転軸が大きく傾き、横倒しになったような状態で公転している。海王星最大の衛星トリトンも、海王星の周りで生まれたのではなく、カイパーベルトから飛来した天体が重力に捕獲されたものと推定されている。

 加えて、太陽系形成初期に天体が集中的に衝突したとされる「後期重爆撃期」や、逆方向に公転する衛星の存在も、外部から天体が頻繁に飛来してきた歴史を物語っているという。

 ただしファルジオン博士自身、接近の頻度や天体の質量について信頼できる定量的な推定はまだ得られていないと認めている。木星が歴史上0.5地球質量級の天体と約16回衝突したとする試算から規模を見積もろうと試みているが、推定される天体の数は少なすぎ、さらなる検証が必要な段階だ。

いずれまた訪れる「見えない客」への備え

 過去にこの現象が繰り返し起きていたのなら、将来また同じことが起きても不思議ではない。

 ファルジオン博士はこの仮説に基づき、深宇宙探査でカイパーベルト由来の矮惑星規模天体を早期に探知する体制の必要性を訴えている。津波などの災害に備え、標高2〜3キロメートルの高地に避難施設を整備することも提案しているという。

 さらに興味深いのは、この絶滅メカニズムが「フェルミのパラドックス」——なぜ地球外文明と出会えないのかという謎——への一つの答えになりうるとファルジオン博士が示唆している点だ。

 見えない惑星の接近が数千万年周期で文明の芽を摘んできたのだとすれば、生命とは本質的に不安定で短命な存在なのかもしれない。この仮説の実証はこれからだが、地球史の空白を埋める新視点として注目される。

参考:SciTechDaily、ほか

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