血の音を使った音楽が凄い! ロシア人アーティストが自らの血液4.5リットルで制作

 オンラインニュースサイト「New Atlas」(3月10日付)によると、昨年12月にスロベニアの首都リュブリャナのアートギャラリー「The Kapelica Gallery」で公開された音楽インスタレーションの動画が物議を醸しているという。

血の音を使った音楽が凄い! ロシア人アーティストが自らの血液4.5リットルで制作の画像1画像は「Vimeo」より


■4.5リットルの血液で演奏される音楽

「Until I Die(僕が死ぬまで)」は、失礼ながら文字通り、いつ死んでもおかしくないような風貌のロシア人アーティスト、ドゥミトリー・モロゾフ氏(またの名を::vtol::)による不穏なアート作品だ。彼はなんと、自分の身体から採取した血液で発電するバッテリーを開発し、それを使用することにより独創的な電子音楽を奏でているのだ。

動画は「Vimeo」より

「テクノバイオロジカル・ハイブリッド・デバイス」は、一見、赤ワインをたたえたクリスタルの器状の優美なシャンデリアのように見える。だが、その正体はモロゾフ氏が18カ月かけて抜き取った自らの生き血4.5リットルなのだ。これを7リットルまで蒸留させ、ガラスのタンクに詰めた後、銅とアルミニウム片に接続。血液を“電解物”として施用することで微量の電流が発生し、バッテリーとして駆動する。

 5個のバッテリーはそれぞれ11個の貯蔵タンクを有し、1000ミリアンペア時に合計3ボルトの電力を生む。このパワーによりアルゴリズム化したモジュラーシンセは最長8時間、小さなスピーカーから不気味な旋律を奏でるようになっている。まさに“血液電池”とでも呼ぶべきシロモノ。

血の音を使った音楽が凄い! ロシア人アーティストが自らの血液4.5リットルで制作の画像2画像は「Vimeo」より

 また、インスタレーションで必要とされた最後の20ミリリットルについては、演奏開始寸前、モロゾフ氏の腕から直接採血して調達したという。まさに身を削った芸術というにふさわしい。

血の音を使った音楽が凄い! ロシア人アーティストが自らの血液4.5リットルで制作の画像3画像は「Vimeo」より


■「私自身の生命力を電子音へと転換している」

 この“ミュージッククリップ”の中で、モロゾフ氏は語る。

「私の血で動いています。これは事実上、“私そのもの”なのです。私自身の生命力を電子音へと転換しているのですから。もっと言えば、私自身はオブザーバーにでもなって、血の滲むような労力の賜物として生み出されたデバイスが奏でる音楽を、自分の体外で行われるパフォーマンスとして傍らで眺めているといった感覚なのです」(ドゥミトリー・モロゾフ氏)

 そして、モロゾフ氏はインスタレーション終了後、パーツの一つ一つを儀式のように分解していったと話す。“命の儚さ”を象徴するために。

 自分の肉体を、自分の意思でどのように使おうが他人の知ったことではないという声が聞こえてきそうだが、生身の人間しか作り出すことができない貴重な血液を、輸血や血液製剤などの医療目的以外で使うことには、つい眉をひそめてしまう。

血の音を使った音楽が凄い! ロシア人アーティストが自らの血液4.5リットルで制作の画像4画像は「Vimeo」より

 確かに、このデバイスを使用したら、まるで神にでもなったかのような万能感を味わえそうだが、生命を冒涜するような後ろめたさがつきまといそうな気がするがどうだろう。
(文=佐藤Kay)


参考:「New Atlas」、ほか

関連キーワード:, , , , ,

佐藤Kayの記事一覧はこちら

※ 本記事の内容を無断で転載・動画化し、YouTubeやブログなどにアップロードすることを固く禁じます。

人気連載

現実と夢が交差するレストラン…叔父が最期に託したメッセージと不思議な夢

現実と夢が交差するレストラン…叔父が最期に託したメッセージと不思議な夢

現役の体育教師にしてありがながら、ベーシスト、そして怪談師の一面もあわせもつ、う...

2024.11.14 23:00心霊
彼女は“それ”を叱ってしまった… 黒髪が招く悲劇『呪われた卒業式の予行演習』

彼女は“それ”を叱ってしまった… 黒髪が招く悲劇『呪われた卒業式の予行演習』

現役の体育教師にしてありがながら、ベーシスト、そして怪談師の一面もあわせもつ、う...

2024.10.30 23:00心霊
深夜の国道に立つ異様な『白い花嫁』タクシー運転手が語る“最恐”怪談

深夜の国道に立つ異様な『白い花嫁』タクシー運転手が語る“最恐”怪談

現役の体育教師にしてありがながら、ベーシスト、そして怪談師の一面もあわせもつ、う...

2024.10.16 20:00心霊
“包帯だらけで笑いながら走り回るピエロ”を目撃した結果…【うえまつそうの連載:島流し奇譚】

“包帯だらけで笑いながら走り回るピエロ”を目撃した結果…【うえまつそうの連載:島流し奇譚】

現役の体育教師にしてありがながら、ベーシスト、そして怪談師の一面もあわせもつ、う...

2024.10.02 20:00心霊

血の音を使った音楽が凄い! ロシア人アーティストが自らの血液4.5リットルで制作のページです。などの最新ニュースは好奇心を刺激するオカルトニュースメディア、TOCANAで

人気記事ランキング更新