世界で初めて採取された謎の軟体生物がキモすぎる! 理学博士「我々の生活に劇的革新をもたらす可能性」
――科学分野だけではなく、オカルト・不思議分野にも造詣が深い理学博士X氏が、世の中の仰天最新生物ニュースに答えるシリーズ
研究者たちが細長く白い筒を慎重に取り出し、その先端を切り落とすと、ゆっくり傾ける。中からニュルリと出てきたのは、黒くてヌルヌルした、驚くほど長いミミズ状の生物だった――。今月17日、ある奇怪な生物に関する論文が科学誌「米国科学アカデミー紀(PNAS)」に発表された。論文は英紙「DailyMail」など多くのメディアで報じられ、その異様な姿や不思議な生態が大きな注目を集めている。
■世界初、謎の生物の採集に成功!
謎の生物はフィリピン沖の泥の中に生息しており、体長は最大でなんと1.5mにも達するという。体の一端には、丸い口のような部位があり、もう片方の端は二股に分かれたピンク色の器官になっている。動画でもわかるように、この奇妙な生物は海底に埋まったカルシウムからできた白い管の中に閉じこもって暮らしている。海底では、二股に分かれた部分(ここも白い殻に覆われている)だけを地面から海中に突き出しているという。
この謎の軟体生物、正体は「エントツガイ」(Kuphus polythalamia)というフナクイムシの一種である。存在は以前より知られていたものの、非常に珍しい生物であり、生きている状態で採取・観察されたのは、なんと今回が初めてだという。エントツガイは非常に長い白い殻を持つことから、世界最長の貝類ともいわれている。殻の大きさは、平均サイズでも野球のバットほどにもなるというのだから驚きだ。二股になった部分は、海水を取り入れたり排出したりするためのサイフォン(管)として働いている。
■理学博士が徹底解説、フナクイムシの生態
「フナクイムシはその名の通り、流木や木製の船底などを食い荒らして、穴を開けてしまうミミズのような形の軟体動物です。こんな形ですが、実は二枚貝の仲間です。フナクイムシ類の貝殻は体の先端部分にあり、木や地面を掘り進めるのに使われています。ただし、エントツガイは、木材の中を食い荒らしているのではなく、海底の硫黄分の多い泥の中に白い殻の家を作って暮らしています」
エントツガイとフナクイムシについて解説してくれたのは、生物学に詳しい理学博士X氏だ。エントツガイの入っていた白い管は棲管(せいかん)と呼ばれるもので、掘り進んだ穴の内側を自らの分泌液で固めたものだという。
「他のフナクイムシも同じように分泌液でトンネルを固めて、既に掘った部分が潰れないように補強しているんです。ちなみに、この生態は地下トンネルを掘るシールド工法開発のヒントにもなったそうです」(X氏)
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