マヤ文明の末裔がジャワ島に渡来していた!? ピラミッドに共通点多数発見、現地調査で見えた“知られざる真実”
■マヤ文明に驚くほど酷似したピラミッド
眼前に広がる光景は、ボロブドゥールなど他のジャワ島のチャンディとはまったく異なる趣で、明らかに異質な雰囲気を醸し出している。この建物がもし、かつてマヤ文明が栄えたユカタン半島に建っているとすれば、まったく違和感など覚えないことだろう。それほど、チャンディ・スクゥの主屋はマヤ文明のピラミッドに酷似しているのだ。
碑文の解釈によると、この寺院は15世紀(1437年)に建てられたとも考えられている。これはジャワにあるチャンディの中では最も新しい部類に入るものだ。建造時はマジャパイト王朝時代(13世紀後半~16世紀にかけてジャワ島中東部を中心に栄えた)で、インドネシア最後のヒンドゥー教国だった。
敷地の第一段目の門から主屋の方を眺めると、参道が主屋の入口の階段まで一直線に伸びている。寺院は西の方角を向いているが、その方角にはいったい何があるのだろう。ジャワにあるチャンディの入口は、ほとんどが東を向いている。それを逆にしているのは、太陽が沈む方向にこそ“真の世界”があるとする浄土思想の現れかもしれない。
門の床には、リンガとヨニ(男性器と女性器を象徴する)のレリーフがある。通常、ジャワ・ヒンドゥー教のレリーフにもリンガやヨニが見られるが、それらは象徴的な形にデフォルメされている。しかし、ここでは極めて写実的に、かつ男女の性器が結合しようとしているところが描写されている。もともと参拝者は、この門を通る際にレリーフを踏まなければならなかったはずだ。その行為に、いったいどんな意味があるのだろうか。
■ピラミッドだけじゃない! レリーフもマヤ文明に酷似
門の床だけにとどまらず、境内の至る場所にも石像やレリーフが配置されている。牛や象のほか、ワヤン・クリ(伝統的な影絵芝居)の一場面を題材にしたというレリーフもある。これらのレリーフもすべてがマヤ文明のそれと酷似しており、“他人の空似”とは到底思えないものだ。
人物は、みなデフォルメされて奇怪な顔つきだ。翼を広げた人間のような石像もある。これはヒンドゥー教の神鳥「ガルーダ」だろう。一見すると宇宙人のようでもあり、一昔前の宇宙考古学者だったら、これは太古にやって来た宇宙人だと主張するかもしれない。
ピラミッドの階段をのぼり、頂上に至る。マヤ文明のピラミッドは頂が神殿になっているが、チャンディ・スクゥでは平坦なスペースがあるに過ぎない。そこで何らかの宗教儀式が行われていたようだが、詳しいことはわかっていない。一つの可能性としては、火葬の場だったことが考えられる。以前、東ジャワのブリタールにある遺跡チャンディ・パナタランを訪れた際、その主屋にもちょうど同じような平坦なスペースがあり、昔はそこで火葬が行われたと聞いたのだ。
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