死体を見て、自分の描いた絵が動き、音を出す…『デヴィッド・リンチ:アートライフ』で描かれた巨匠の頭の中の悪夢

死体を見て、自分の描いた絵が動き、音を出す…『デヴィッド・リンチ:アートライフ』で描かれた巨匠の頭の中の悪夢の画像1『デヴィッド・リンチ:アートライフ』

 謎の映画監督デヴィッド・リンチ。昨年は、伝説のテレビシリーズ『ツイン・ピークス』の続編『ツイン・ピークス The Return』が、第70回カンヌ映画祭で当別上映され、世界を再び熱狂させている。その一方で、オーストラリアのシドニー・モーニング・ヘラルド紙のインタビューで、2006年の『インランド・エンパイア』以来、長編映画を撮っていないことについて、「これが最後の作品になりますか?」と質問され、リンチは「その通りだ」と映画監督引退を宣言している。

死体を見て、自分の描いた絵が動き、音を出す…『デヴィッド・リンチ:アートライフ』で描かれた巨匠の頭の中の悪夢の画像2©Duck Diver Films & Kong Gulerod Film 2016

 そんなリンチの発言にはちょっとびっくりさせられるが、もともと彼は、画家を志望し、いまもハリウッドに自宅兼アトリエを構え、日々、芸術作品の制作に没頭している。彼にとっては、休むことのない創作活動の連続の中に、映画作品の製作もあったともいえるだろう。

 そんなリンチの真の姿が待望の新作ドキュメンタリー『デヴィッド・リンチ:アートライフ』で暴かれている。この作品は、リンチを追ったドキュメンタリー映画三部作『LYNCH three project』の最新作にあたり、制作費の半分はクラウドファンディングで賄われている。

「多くの人がデヴィッド・リンチは映画監督だと思ってる。でも、アーティストとして出発したんだ」

死体を見て、自分の描いた絵が動き、音を出す…『デヴィッド・リンチ:アートライフ』で描かれた巨匠の頭の中の悪夢の画像3©Duck Diver Films & Kong Gulerod Film 2016

 監督を務めたジョン・グエンはそう語っている。リンチが映像作品のみならず、絵画、写真、音楽など様々な方法で表現活動を続けていることはよく知られている。日本でも幾度も展覧会が開かれ、その度に話題となってきた。しかし、それらの芸術作品の数々は、リンチの映画とどう結びついているのか? 自作について、多くを語らないことで知られるリンチが、自分の人生について語るきっかけとなったのは、2012年の末娘の誕生だという。

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