ネアンデルタール人が絶滅したのは絵が下手だったから! 人類最大の武器は「芸術の才能」だった!
■人類は“芸術的才能”で狩りの技術を高めた
人類の祖先はこの“芸術的才能”を育むことで狩りの技術を高めていったというから興味深い。
コス教授によれば、パワーに優れたネアンデルタール人は手にしたヤリなどで獲物に襲いかかり力尽くで狩猟を行っていたという。ウマやシカ、バイソンなどの大型生物に臆することなく武器を手にして襲いかかり“ビッグゲーム”を繰り広げていたのだ。大型の哺乳類を仕留めることができれば当然ながらその後はかなりの期間、食糧に不足することはないだろう。
一方でネアンデルタール人に比べて非力な人類は、必要に迫られて狩りの技術を向上させなければサバイバルの上できわめて不利な状況にあった。そこで我々の祖先は“芸術的才能”を大いに活用する手段を採用したのだ。
「狩りの模様やその対象となる動物を絵に描いてみることによって、観察力がより向上します。これらの絵図は狩りの行為を概念化し、狩猟の際の注意力を高め、獲物の身体的弱点を明確にし、情報として仲間と共有することは集団の結束力を育むのに役立つでしょう」(リチャード・コス教授)
こうして狩りを絵に描くことによって、個別的な狩猟が1回限りのものではなく体験として積み重なり、またグループ内で共有できるノウハウとなったのだ。そしてこの作業を繰り返した結果、視覚情報の入力と運動能力を統合した脳の領域である頭頂皮質(parietal cortex)はより大きく発達してきたのだとコス教授は説明する。
頭頂皮質が発達することで、視覚情報と手の動きの連携(目と手の協応)が強化され、人類の祖先は獲物を遠距離からヤリ投げで仕留める技術を培ってきたということだ。パワーに劣る人類がなるべくリスクを冒さずに大型の獲物を仕留めるために、遠距離から狙う技術を高めたことでネアンデルタール人よりもサバイバルにおいて有利な立場を勝ち得たのである。
そしてこのように人類が頻繁に絵を描き始めたことで、集団は文化的な変貌を遂げていったということだ。絵で描き残すことでグループ内での時空を超えたコミュニケーションが可能になり、その後の書き文字の登場につながる“情報革命”をもたらしたのだ。太古においても人類は“情報”によって有利な立場に躍り出ていたということだろうか。
参考:「Daily Mail」ほか
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