元ロシアスパイ暗殺事件は氷山の一角！ 暗殺報道の裏にいる謎の男・ベル卿とスパイたちの知られざる暗躍！

• 
• Xでポスト
• 

　聞き慣れない化学物質を使用したセンセーショナルな事件であるだけに、リトビネンコ、スクリパリ両氏に関する事件は目立つのであるが、実はこの2つの事件の他にも英国の情報機関に協力してきた在英亡命ロシア人コミュニティメンバーの暗殺事件が存在する。それも、両氏より更に大物の暗殺事件だ。

ベレゾフスキー氏「Wikipedia」より引用

　まず、2013年の反プーチンの急先鋒であったロシア新興財閥(オルガリヒ)の代表的人物であった富豪、ボリス・ベレゾフスキーの死である。彼はチェチェン・マフィアとの関係で財を成し、チェチェン紛争では独立派に肩入れ、更に数々の汚職を働き、追及を逃れるべく英国へ亡命、かの亡命ロシア人コミュニティに加わった。彼はリトビネンコと親密な中にあったことで知られ、在英亡命ロシア人コミュニティにおいては「カラー革命」を積極的に支援していた。彼の死因は自殺と公表されているが、自殺と見せかけた暗殺はKGB時代からのロシア情報機関の常套手段と言って良い。

　次に、スクリパリ氏暗殺未遂事件の直後、2018年3月12日に絞殺死体で発見されたニコライ・グルシコフ氏の死である。彼はベレゾフスキーと親密な中であったことで知られ、かのアエロフロート副社長などを務めた実業家であったが、マネーロンダリングの罪などで英国への亡命を余儀無くされた人物である。英当局は殺人事件として捜査を開始している。彼もまた、かの亡命ロシア人コミュニティのメンバーと推測され、彼の死にロシア情報機関の関与があったことは確実と思われる。

　この2つの暗殺事件を精査すると、ある共通の人物が浮かび上がってくる。英広告代理店「ベル・ポッティンガー」の創業者であるティモシー・ジョン・ベル卿だ。彼は政府関連の広報を得意とし、かつての露エリツィン大統領やウクライナのユーシェンコ大統領のメディア・コンサルタントを務めていた。また、ベレゾフスキー氏のメディア・アドバイザーとして長年務め、リトビネンコ暗殺事件をプロパガンダとして大々的にアピールしてきた経歴を持つ。そして、ニコライ・グルシコフ氏暗殺事件に関しても、英捜査当局から聴取がなされているのだ。

ベル卿「The Guardian」より引用

　リトビネンコ暗殺事件、そしてスクリパリ暗殺未遂事件はまさに氷山の一角。その背後には、亡命ロシア人コミュニティを利用しロシア、プーチンの力を削ごうと画策する英国情報機関と、それを阻止せんとするロシア情報機関との壮絶な諜報戦争が存在するのである。

　プーチンにとり、リトビネンコ、スクリパリ両事件は言わば「駒」を見せしめに消しただけに過ぎない。今後もベレゾフスキーやグルシコフのような大物が、より目立たない形で消されていくことであろう。そして、暗殺事件の報道の裏には、ベル卿のようなメディアを操る存在が暗躍しているのだ。

文＝塩原逸郎

塩原逸郎の記事一覧はこちら

※ 本記事の内容を無断で転載・動画化し、YouTubeやブログなどにアップロードすることを固く禁じます。

 
• 前のページ
 
• 1
 
• 2
 
• 3

関連記事

• 

  【ロシア元スパイ重体】謎の猛毒を専門家が緊急解説！“未知の神経ガス”か… 旧ソ「暗殺研究組織」や人体実験の過去も！

• 

  【衝撃】JFKは暗殺10日前に「UFOとエイリアン」を調査していた！ CIA極秘文書で発覚したケネディ“最期の依頼”とは？

• 

  人身売買、暗殺事件、演説…！ 歴史上で最もヤバい「影武者伝説」5選！