眠る前にコップ1杯の水を飲めば「夢を記憶」できる! なぜ夢を忘れてしまうのか、複数の学者が徹底解説!
■睡眠時の海馬は情報を送信するが受信はできない
睡眠時であってももちろん脳活動がすべて停止しているわけではない。2011年の米・ウィスコンシン大学マディソン校の研究では、短期記憶を長期記憶に保存する機能を持つと考えられている海馬(hippocampus)が最も最後に“眠る”脳の部位であることが突き止められている。
「海馬が最後に眠るということは、目覚めるのも海馬が最後である可能性があります。したがって、夢の記憶と共に目覚めても、海馬はまだ完全に起きていないので、夢の記憶という短期記憶がキープできないのです」と前出のアンドリオン氏は語る。
一方でまた別の研究では、睡眠時の海馬は日中に入力された短期記憶を長期記憶へと保存するためにきわめて活発に活動しているため、夢のような、現時点でもたらされている現象にまでは“手が回らない”ということだ。
「脳内活動の観測データでは、いくつかの睡眠段階の間に海馬は皮質に情報を送信していますが、受信はしていないことを示しています。この一方通行の情報伝達は、海馬からの記憶を長期記憶のために脳の皮質に送ることを可能にしますが、新しい情報は海馬による処理はされないでしょう」(アンドリオン氏)
■夢を見る人々は睡眠中によく目が覚めている
一般的に夢は忘れやすいのだが、それでも人によってはほとんど毎日夢を見ているという人がいたり、逆に夢はいっさい見ないという人もいる。この個人差はどこからくるのか。
2017年の、ある国際的チームの研究では、18人の毎日夢を見る人々と、同じく18人のほとんど夢を見ないという人々の睡眠実態を詳しく分析している。
分析の結果、夢を見る人々は睡眠中に少なくとも合計で2分間、目が覚めていることがわかった。一方、夢を見ない人々が睡眠中に目覚めるのは合計で1分以下であったのだ。1分の違いではあるが、この差の間に夢の短期記憶が長期記憶に保存されやすくなっているのではないかということだ。
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