観たら死にたくなるドラマ? Netflix『13の理由』が原因で自殺をはかる10代若者が増加(最新研究)
■本当に影響はあったのか?
では実際、ドラマが視聴者のティーンエイジャーに悪影響を与えているのだろうか? 米ミシガン大学の精神科救急部の医師らは、受診した平均年齢14.6歳の若者87人(71%が女性、26%が男性、残る2%は性別不適合)を調査した。
すると、そのおよそ半数が「13の理由」を少なくとも一話視聴していた。そのうち84%は一人で視聴しており、内容について話し合ったのは親(34%)より仲間(80%)であった。視聴していた若者のうち半数は、死にたい気持ちをドラマが上昇させたと考えており、うつ病や自殺願望をもともと抱えていた人ほどドラマで自殺したハンナに自らを重ね、悪影響を受けたとしていた。調査結果をまとめた論文は今月20日付で専門誌「Psychiatric Services」に掲載された。
「今回の調査は、ドラマが自殺のリスクを増しているとは確認できませんでした。しかし、感受性が強く傷つきやすい若者たちへの悪影響を懸念する必要性は確認できました」
そう語るのは論文の筆頭著者である医師ヴィクター・ホン氏である。ホン氏によれば、うつ病でない子どもがこの手のドラマに影響されることはあまりないが、すでに精神的に問題を抱えているような子にとっては問題があるかもしれないという。
問題は、自殺のリスクを抱えた子どもを大人が把握できないことにあるとホン氏は語る。調査対象になった子どもの両親には、このドラマを視聴していた人はほとんどいなかったといい、子どもが視聴していたことすら知らないという親もいた。
「傷つきやすく自殺の可能性が高い子どもを持つ親は、子どもが見ているコンテンツや、危険性のあるコンテンツにさらされていないかについて、もっと把握すべきです」
研究に携わった医師の一人シェリル・キング氏はこのように語る。一方で、このようなデリケートなことを、ティーンエイジャーが親と話し合うのは難しいだろうとも指摘する。米国の学校にはびこる闇を描いたドラマは、実際に十代の若者たちが抱える問題をも浮き彫りにしているのだ。
(編集部)
参考:「Independent (1), (2)」「Michigan Medicine Health Lab」「Psychiatric Services」ほか
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