「大麻解禁を阻むのは日本の馬鹿な“ウヨ豚”たち」 ― 宮台真司✕高樹沙耶✕石丸元章、平成最後の「超大麻論3」

沖縄の楽園石垣島 虹の豆に暮らす医療用大麻推進派女優 高樹沙耶と東京の元祖ジャンキーライターが大麻薬物事件や世相のあれこれを、独特のカンナビス視線で語る本連載――。大型企画「高樹沙耶大麻をめぐる対話10番勝負」がいよいよラスト。現代社会と大麻について、ラジカルな発信を高らかにする社会学者で首都大学教授、宮台真司先生をゲストにお迎えしてます

【超大麻論・シリーズ3回分のイッキ読みはコチラ】


■大麻と漢方の共通点

宮台 『デイズジャパン』2018年9月号が特集したように、医療用大麻は、難治性てんかん・末期がん・PTSD・重度自閉症など現代医療では改善しなかった患者たちにとって大きな福音になっています。そもそも医療用大麻にはとても切実な出発点があります。80年代にエイズで苦しむ人に効果があることが分かったことです。エイズは免疫不全から多臓器不全になりますが、1つのクスリで1つか2つの効能という近代医薬だと多種のクスリを併用しないと効果が望めないところに、大麻には500種類の有効成分が含まれていて複合的に作用するので効果が得られるんですね。

高樹 人工的にはデザインできない薬剤ですよね。

宮台 はい。鎮痛効果はモルヒネも極めて有効ですが、呼吸障害を起こしやすく、大麻よりも厳密な医療管理が必要になるので、患者が自分1人で服用できません。

石丸 モルヒネは「麻薬」扱いですね。病気じゃない人間が摂取すると、すぐに暖かくトロン~とくる。がん患者からもらって飲んだことがありますよ。ドラッグとしての「アヘン」がその仲間です。

宮台 大麻が「一成分の効用に関する」臨床試験になじまないのは漢方と同じですが、漢方に共通する複合的作用を「緑の医学」と呼ぶのが薬剤師の林真一郎先生。それでも実際に処方された患者に大きな効果があるので、アメリカ各州で患者たちが州議会議員たちを動かした結果、今では30州が医療用大麻を解禁するに至ったんですね。

高樹 「緑の医学」、良い言葉ですね。

「大麻解禁を阻むのは日本の馬鹿なウヨ豚たち」 ― 宮台真司✕高樹沙耶✕石丸元章、平成最後の「超大麻論3」の画像2高樹沙耶、宮台真司、石丸元章

宮台 今は精神作用があるスマートドラッグが世界的に大流行で、アメリカでは大学生の4人に1人が使っています。これは僕の推測ですが、製薬会社がスポンサーとしてメディアに対するパワーを持ったり、議員相手のロビイングパワーを持つことも、巨大な力になびくばかりの「ヘタレ日本人」に対しては影響が大きいでしょうね。

高樹 私もそこが大きいのではないかと思っています。

石丸 スマートドラッグというのは、人間の脳の機能を高めたりするクスリのことですね。認知能力や記憶力を高める。アメリカでは、大学生が試験前などに使っている、と聞いています。

宮台 既に認められた知見ですが、大麻煙草1本分の吸引で自動車運転事故率がかなり下がります。飲酒運転事故は大麻運転事故の十倍以上の発生確率です。ミュージシャンたちによると高音についての感度が上がってベストプレイにつながります。ことほどさように大麻には脳の機能を高める効果も認められています。大麻は500の成分が複合的に働いて薬効を示す分、機序が充分に分かってはいません。漢方と同じで、西洋医学の薬みたいな「この成分でこの症状」という単純な対応関係でない分、複数の症状に薬効を示す万能薬的な面もあります。そんなこんなでスマートドラッグが今ほどは売れなくなるでしょう。

石丸 製薬業界が荒稼ぎしているスマートドラッグのマーケットを侵食する、と。

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