「CIAはノアの方舟を衛星を使って全力調査していた」内部文書でガチ発覚! スパイ偵察機でも探査…発見と場所は!?


■息を吹き返す伝説たち

 もっとも、CIAの着眼が必ずしも極端なものであったとは言いがたい。過去には空想の産物としてみなされていた伝承・伝説の一部が、発掘者の執念によってこの世に息を吹き返した例もある。

 イタリアの独裁者ムッソリーニは、湖の水を抜き取るという一大事業を断行し、ネミ湖の底からローマ皇帝カリギュラが建造した巨大船を引き上げている。

 またギリシアの英雄叙事詩『イーリアス』に感銘を受けた考古学者シュリーマンは私財を投げうち、プリアモスの手勢とアキレウスが剣を交えたトロイアの跡地を探し当てた。さらに、ファラオの呪いによって落命したとも伝わるカーナボン卿は、盗掘に荒し尽くされたと考えられていた王家の谷の一角より、ツタンカーメン王の遺体と副葬品の数々を発見している。

 このように考古学の躍進には、冒険家的な発想が寄与しているケースが少なからず見られる。さりながら、CIAによる調査は実を結ぶことなく、結局のところ徒労に終わってしまった。

 CIAの部局である国立写真解析センター(NPIC)のアナリストは、ワシントンD.C.で催された方舟の梁を発見したと主張するフランスの探検家、フェルナンド・ナバラ(Fernand Navarra)の展示にまで足を運んだ揚げ句「調査に役立つ発見なし」との記載を残している。

 加えてCIAの文章には、アララト山の方舟の証拠が見つからなかった点が、折に触れ記されていた。


■腰の重さを増すCIA「方舟の証拠は皆無」

 ひとしきり調査を終えた後、各方面の議員から度重なって繰り返される追加の調査要求に対して、当局者は否定的な見解を具体的に示すようになった。1994年2月7日付、送信者と受信者の双方が秘匿された文章にはこのようにある。

「機密情報のため、画像の開示要求は一貫して拒否されます。これまでの文書が示すとおり、我々はノアの方舟に関する決定的な証拠を得ておりません。また我々は目下、アララト山地及びノアの方舟については、記録の見直しや追加の探査に係る努力を行いません」

 結論としては、CIAは組織として熱をあげて調査に臨んだというよりも、議員たちからの突き上げにより、渋々調査に従事せざるを得なかったというのが真相らしい。前述のゴールドウォーター上院議員も、アララト山に残る方舟の痕跡について数回要求を送りつけ「当該地域の写真を慎重に見直したが、証拠は見つからず」との回答を得ている。

 月面着陸後、牧師に転じてノアの方舟探索に人生を費やした元宇宙飛行士のジェームズ・アーウィン氏も、CIAに同様の要求を試み、類似の回答を得た一人であるという。

 CIAの職員たちは当時の議員たちが考えていたよりも、はるかに多忙であったに違いない。仮にノアの方舟が実在していたとしても、最先端の技術を駆使する組織であれ、片手間の調査で大発見にたどり着くことはできなかったはずだ。

 一般人も手軽に衛星画像にアクセスできるようになった昨今。ノアの方舟はアララト山の頂に船体を休め、熱意に燃える個人の目に留まる瞬間を待っているのかもしれない。
(文=Forest)

参考:「Daily Star」ほか

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