堀ちえみや池江璃花子を救うのは、あの「丸山ワクチン」の進化版か!? がん治療の最前線が興味深すぎる!

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■がん免疫療法の歴史

 そもそも、風邪やケガをした患者の悪性腫瘍が小さくなったり、時には消失してしまうことは経験的に知られていた。なぜ、そんなことでがんが小さくなるのか? 細菌に感染すると免疫が活性化され、がん細胞を死滅させるらしいのだ。

 それなら、わざと細菌に感染させれば、患者の体が作り出す抗体は細菌と一緒にがん細胞も死滅させるのではないか? そのような考えから、がんワクチンを作り出すという試みが多数行われてきた。丸山ワクチンもその1つで、元は結核用のワクチンなのだという。

 ただ当時、残念なことに、がんワクチンはどれもあまり効果がなかった。がんの治し方は相変わらず「手術で切る」「放射線で焼く」「抗がん剤で殺す」の3通りであり、第4の治療法としてがんワクチンが使われることはなかった。こうして忘れ去られていたがんワクチンだったが、1990年代に免疫の仕組みが詳しく解明されるようになると一転、がんワクチンを含むがんの免疫療法が脚光を浴びはじめる。

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 というのも、がん細胞の表面には特殊なペプチド(アミノ酸が結合したもの)があり、免疫細胞はこのペプチドを目標に攻撃を加えていることがわかったのだ。つまり、このペプチドを作って体内に注射すれば、がん細胞が急増したと免疫細胞が判断して免疫が活性化、がん治療につながるのではないか?

――ということでやってみても、これがなかなかうまくいかない。とても簡単な理由があった。免疫が強くなりすぎると、がん細胞だけではなく、普通の細胞まで攻撃してしまうことから、人体には免疫が暴走しないように抑制する仕組みがあったのだ。そして、がん細胞はこの抑制のシグナルを真似て、免疫の動きを抑え込んでいるらしい。がんのことを“悪性新生物”とは、よく言ったものである。まるで寄生生物のような振る舞いだ。

 ただし、人間側もただ負けている訳にはいかない。この抑制の仕組みをブロックし、免疫を最大限に働かせようというのが、本庶氏の「がん免疫チェックポイント阻害療法」だ。

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