「北海道地震はCCSが関係」鳩山氏の発言は本当にデマなのか!? 科学ライター寄稿「論文の存在、調査の必要性、裏の陰謀…」
■CCSとシェールガス掘削技術の関係
さて、CCSの基本技術は、シェールガス掘削技術のスピンアウト版とでも言うべきものだ。
シェールガスの採掘は、高圧で水を注水して行う。シェールガスは深部天然ガスとも呼ばれ、岩と岩のすき間に浸み込んでいる。採掘にはガス層まで穴を掘り、ガス層に沿った横穴を掘って、そこに砂と水と化学物質を高圧で流し込む。その水圧で岩を割り、岩の間からあふれた天然ガスを、横穴を通じて吸い出すのだ。
果たして、本格的なシェールガス採掘が始まるとアメリカ・オクラホマ州では地震が多発した。結果、2016年には岩盤への注水量を2014年度の60%に抑える条例も制定された。水を高圧で地層に流し込んだ結果、地震が起きたことを州政府が認めた形だ。
北海道大学で発表された『CCSやシェールガス採掘は深刻な地震活動を誘発する可能性がある』(高橋慧、藤井義明 『資源・素材学会春季大会講演集』からの引用)は、人為的な活動による誘発地震について「地熱開発や石油のEOR(石油増進回収法)などでは流体注入による間隙水圧の上昇、ダム建設では上載圧増加より生じる」として、「注入体積と誘発地震の最大マグニチュード」との間に関係があることを示している。「1年の採掘で誘発地震の最大マグニチュード4.5~5.0、最大震度 2.2~2.8」が予想され、これは採掘が行われているコロラド州やオクラホマ州での注水量と地震発生にも近似しているという。
もう一度言うが、CCSとシェールガスの基本は同じだ。CCSで液化した二酸化炭素を高圧で注入した結果として、地震が起きる可能性を頭ごなしに否定する姿勢は賢明ではない。前述の論文によれば、仮に日本が排出するCO2の17%(CCSによる二酸化炭素の削減目標値)を1カ所のCCSサイトに注入したら、「予想される最大震度は 5.0」となる。もちろんこれは、何億トンもの二酸化炭素を1カ所に注入した場合の極端な例ではあるが。
シェールガスの採掘では、水と一緒に「プロパントという砂粒状の物質」(ウェブサイト『学べるシェールガス』より)を9.5%、化学物質0.5%を穴に注入する。化学物質は掘ったパイプラインを摩擦で劣化させない目的、プロパントはガスが外に逃げた後で岩と岩の間に空いた隙間が潰れないように入り込む。このプロパントを用いても、シェールガス採掘現場周辺では地震が起きたのだ。
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2024.10.02 20:00心霊「北海道地震はCCSが関係」鳩山氏の発言は本当にデマなのか!? 科学ライター寄稿「論文の存在、調査の必要性、裏の陰謀…」のページです。ビジネス、二酸化炭素、地球温暖化、シェールガス、北海道地震、CCS、原子力発電、火力発電、排出権取引、久野友萬などの最新ニュースは好奇心を刺激するオカルトニュースメディア、TOCANAで