粘菌も記憶・学習することが判明! 脳ナシ神経ゼロの単細胞生物にも“知性”があった!?

 粘菌は神経系を持たない複雑な単細胞生物でありながら、変形して移動しつつ餌を探す性質と、胞子によって繁殖する性質を持ち合わせたユニークな生物の一群だ。日本では南方熊楠が研究していたことで知られ、その種類は数百種にも及ぶ。迷路を解いたり効率の良い鉄道輸送網を設計したりする能力を持つ粘菌は、認知や知性といった生物の機能の謎を解く鍵として学術的にも注目されている。

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粘菌の一種モジホコリ。画像は「Wikipedia」より引用

 最近、粘菌の“記憶”に関する新たな論文が、学術誌「Philosophical Transactions of the Royal Society B: Biological Sciences」(4月22日付)に掲載された。これまで記憶ができるのは神経系のある生物のみだと考えられてきたが、近年の研究によって、どうやら粘菌にも素朴ながら記憶や学習の能力があるらしいことが分かってきている。今回の論文はそのメカニズムの一端を明らかにするものだ。

 実験に用いられたのは粘菌の一種モジホコリ(Physarum polycephalum)である。モジホコリは塩やカフェインなどの刺激物を嫌う性質があり、それを避けるように移動する性質がある。迷路を解く実験などでも使われている粘菌のモデル生物だ。

 2016年、仏トゥールーズ大学の研究者らは、餌へのルート上に橋を作ってその上に塩を置き、そこを粘菌に通らせて塩が危険でないことを教えこんだ。すると、訓練を終えた粘菌は塩の橋をすばやく渡るようになった。さらに興味深いことに、訓練を受けていない粘菌と訓練済みの粘菌を並べて置いて両者をさせても、訓練を受けた場合と同じように、ためらいなく塩の橋を渡った。つまり、粘菌には細胞レベルで学習する能力があり、しかもその情報を細胞融合で共有することもできるということだ。

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